「動画広告はもっと面白くならないのか」に対する、ひとつの答えを出した企業

現代ビジネス編集部 プロフィール

テレビCMを超えるために

動画広告の市場は年々拡大しているとはいえ、企業がひとつひとつの広告制作にかけられる予算は、テレビCMのそれと比べれば限られている。テレビCM制作の場合は数千万円規模。一方ウェブ広告の場合は、制作費が1000万円も出ればよい方と言われる。

その予算では有名人は起用できないし、多重下請け構造が一般的であったため、クリエイターに支払われる対価も少なくなる。有能なクリエイターは「ウェブは儲からない」「十分な報酬がもらえない」とそっぽを向いてしまう。テレビCMより見劣りするものができてしまうのは当然だった。

コストをかけずとも、魅力的な動画広告を作れないか――。そこで上坂氏が考案したのが、クライアントとクリエイターの「マッチングサービス」だ。

「動画の世界は、極端にいえば『ハイエンド』と『ローエンド』の二つしか存在しませんでした。前者は広告代理店と組んで数千万円の予算をかけて、一流CMクリエイターや有名タレントを起用する形です。後者は、100万円未満の低予算の動画。ウェブの広告は大半が後者でした。

そんななかで、『ミドルレンジ』が空いていることに気が付いたのです。つまり、数百万円の予算でよい動画広告をつくる、という構造がなかったのです。ここを確立していけば、従来のものとは違うレベルの広告が作れるかもしれない、と」

広告動画の未来について語る上坂社長

テレビ番組制作会社にいた経験から、世の中には魅力的な動画を制作できる優秀なクリエイターが数多くいることを知っていた。優れた動画を制作できれば、有名人が出演せずとも、目を引く広告を作ることはできる。また、多重下請け構造に頼らず、より直接的にクライアントとクリエイターを直接結び付けることができれば、余計なコストを抑えることができる。

優秀なクリエイターとクライアントをマッチングさせるサービスがあればいいんだ――そう思いついた上坂氏が立ち上げたのが、「Viibar」だ。

現在、Viibarには約3000人のクリエイターが登録している。動画広告を作りたいと思ったクライアントが、予算規模や広告のイメージをViibarに投げると、登録しているクリエイターが、「それ、私が請け負います!」と名乗りをあげ、広告案をプレゼンする。クライアントが納得すれば、そのクリエイターと動画制作を進めていく、というものだ。仲介者が少なくなる分、コストは抑えられ、その分クリエイターにも十分な報酬が支払われる、というわけだ。

Viibarの仕組み

「十分な報酬が得られると分かれば、優秀なクリエイターが集まってきます。そうすれば必然、仕上がる広告も面白いものになっていく。…当初はクリエイターを集めるのが大変でした。知り合いやその伝手をたどって、『こういうサービスをやりたい』と一人一人声をかけていきました。比較的、思い通りの動画広告が作れるという自由度の高さに共鳴してくれる方は多く、自然と登録者数は増えていきましたね。

もともと動画広告を制作するのに、どこに依頼をすればいいのかわからない、という声も多かったんですよ。面識のないクリエイター個人に頼むのはリスキーだし、多重構造で最終的に誰が作っているのかわかりづらいと。

Viibarはクリエイターが集まるプラットフォームですから、まずここに依頼してくだされば、大体のことは出来ますよ、と。そういう空間になっています。クライアントとクリエイターが事前に十分な話し合いをしてから制作に入るので、出来上がりに不満があるといったミスマッチも少ない、と自負しています」