最強の情報参謀が緊急レポート!報道占有率でわかる参院選「無風」の正体

結局、自民勝利の理由はマスゾエだった?
小口 日出彦

「都知事辞任」という暴風

一方、野党にとっては、なんとしても状況を変える「風」を吹かせたい状況だったはずだ。そのきっかけは、間違いなくあった。伊勢志摩サミットの直後の国会最終盤、安倍総理が「消費税増税延期」を表明した場面だった。

言うまでもなく、消費税増税延期は、景気、財政、社会保障などの政策事象にまたがる「大判断」である。国内だけでなく国際金融市場への影響も大きい。だからこそ安倍総理も伊勢志摩サミットを超えて国会最終盤まで悩んだのだと思う。

消費税増税延期に食いつけば参院選の論戦は、最終的な勝ち負けはともかく「もう少しまともな政策議論」になったはずだ。なにしろ、消費税は、有権者の日々の暮らしに直結する「わかりやすい」話題だ。加えて社会保障財源とすることも政策的に明示されているから、年金や子育てといった少し長期的な暮らしの課題にも結び付いている。

だから、消費税増税延期直後には「これで保育園を増やせなくなる」といった批判的論調(←正しい批判かどうかはまた別問題だが)が報道やネットに沸き起こった。

実際、自民党の選挙関係者はこの時期に「4月-5月の世論調査で3割弱が消費税は延期せずに増税すべきだと回答している。その3割弱には、経営者層など本来の自民党支持層がかなり含まれているのではないか」と気にしていた。

しかし、ここで「暴風」が吹いた。舛添要一東京都知事の公私混同スキャンダルである。

5月31日から6月20日のテレビ報道データに、その「暴風」の凄まじさが表れている。6月1日、安倍総理が消費税増税延期を表明した前後、確かに消費税をめぐるニュースはテレビ報道のトップ3に入っていた。しかし、それを圧するように上位に君臨したのが舛添知事関連報道だったのである。

テレビで発信されている情報を、その中味(映像のテーマ、放映時間、登場人物など)に注目して整理してみるとテレビ報道の構造が見えてくる。普通の視聴者がこういうテレビの見方をすることはないと思うが、私はその構造をバブルチャートとして「見える化」している。このチャートの推移を見れば、今何がトレンドとなっているのかが一目で分かる。

舛添知事関連報道は、その翌週の6月7日から、トップを独走する巨大報道となった。その状態は、6月18日に「辞任正式決定」でまとめ報道がなされるまで続いた。一方、消費税延期の報道は、6月第二週以後、パッタリと途絶えた。

この間、舛添知事関連報道は、最大でテレビ報道占有率52%に達している。報道占有率とは、報道時間を基準として、テレビニュースの中である話題がどれだけ取り上げられたかを示す値だ。

この値が50%を超えることは極めてマレ。テレビの視聴者にとっては「ニュースを見れば舛添都知事のことばかり刷り込まれる」状態になる。同時に「消費税増税延期なんて、そんなことあったっけ?」という記憶喪失状態にもなるのである。