撮影:立木義浩
シマジ マークさんは日本に住んで何年になりますか?
マーク 34歳のときに日本にやってきたので、この秋でもう36年目になります。
シマジ 日本にいらした当初から、こんなに日本語がお上手だったんですか?
マーク そのころのほうが、もうちょっと真っ当な日本語だったかもしれません(笑)。
立木 マーク先生は余裕の日本語ですね。素晴らしいユーモアですよ。
マーク 立木先生、ありがとうございます。じつは、アメリカで勉強したのは主に読むほうだけでした。
シマジ 日本人の英語と同じですね。日本人の英語もはじめは読むことが主ですから。
マーク そうですね。わたしもアメリカにいたころはアメリカ人の先生の授業を受けて、日本語を読むということをしていました。
シマジ それはワシントン大学でのはなしですか?
マーク はい。会話の練習はなかったんです。
シマジ では、日本語の会話は日本にこられてから?
マーク ちょうど博士課程に入ったころ、そのとき31歳だったんですが、9ヵ月ほどのプログラムが東京であって、はじめて日本人の先生の授業を受けました。そこではじめて日本語会話を集中的に勉強出来たんです。
シマジ またなぜ難しい日本語に興味を持たれたんですか?
マーク そのころは日本語の難しさがよくわからなかったんです。もともと学部生のころは英文学を専攻していました。そこで「世界の文学」という科目があって、いろいろな国の文学を英訳で読んでいたんです。そのなかに日本の小説がいくつかありました。