メディアが報じない参院選挙制度の「隠れた欠陥」〜自民党「圧倒的有利」には理由があった

都市有権者の声はどこへ?
菅原 琢 プロフィール

この欠陥の周知を、そして改善を

図表4ほど強力ではないが、このような農村地域の政権への過剰代表は衆院でも見られる。都市住民の声が政権に届かず、農村の声が政権に過剰に注入されることは、政策の歪みを生み出す要因となっていると想定される。

衰退地域・衰退産業への過剰な補助金や過度の規制による保護、今後につながらない公共事業が推進される一方、新しい産業の動向には鈍感になり、都市住民の生活や人生に即した政策は促進されない。

たとえば少子化への抜本的な対応がなされず、待機児童問題が何十年も放置されてきた背景のひとつとして、政権内に都市住民の代表が少ないという構造的な問題があると指摘できる。

農村部で小選挙区、都市部で中選挙区という歪んだ選挙区構成は、参院だけでなく多くの都道府県議会にも共通する欠陥である。都道府県の政治の場合、知事と議会の二元代表制であるため、両者の対立にこれが作用する。

たとえば、左派や改革派の知事が就任した際、議会の抵抗に遭って県政が停滞する事態がしばしば発生するが、そのひとつの原因に、郡部等の小選挙区選出の守旧派議員の抵抗がある。

このように参院の選挙区制は、特定の政党、勢力を著しく有利にし、都市部の有権者に大きな不利益をもたらすものである。一票の格差だけでなく、この欠陥ももっと周知され、改善の動きにつながっていくことを期待したい。

菅原琢(すがわら・たく)
政治学者。専門は政治過程論、現代日本政治。著書に、『徹底検証 安倍政治』(岩波書店、2016年、共著)、『平成史』(河出ブックス、2012年、共著)、『世論の曲解 なぜ自民党は大敗したのか』(光文社新書、2009年)など。国会活動を議員別に整理、集約した国会議員白書を公開中
http://kokkai.sugawarataku.net/special/ce24.html