メディアが報じない参院選挙制度の「隠れた欠陥」〜自民党「圧倒的有利」には理由があった

都市有権者の声はどこへ?
菅原 琢 プロフィール

「小選挙区」だけで勝利してきた自民党

実際の選挙結果を確認すれば、農村を基盤とする自民党が参院小選挙区の「勝者総取り」の利点を独占していたことは明らかである。

図表2は、3つの選挙制度別に各党の議席率を示している。

これを見ると、自民党は全国区および比例区で過半数の議席を獲得したことがなく、定数2以上の中選挙区でも92年以降過半数に達していない。

これらに対して小選挙区では、89年と07年の2回の例外を除き過半数を獲得。議席率が8割に達することも珍しくなく、他の制度での損失を小選挙区だけで埋め合わせる結果となっている。

この小選挙区(1人区)の結果の特異性は、得票率と議席率を比較すればさらに明らかになる。

図表3では、選挙区を定数1、2、3以上のグループに分け、それぞれの自民党得票率の各年の平均値を横軸、同じく議席率を縦軸とした散布図である。

これを見ると、得票率と議席率が一致するy=xに沿って左上に分布している定数2以上の選挙区に対し、1人区は2つの例外を除きy=xから大きく上に外れた位置に広がっていることがわかる。1人区で自民党は、得票率をはるかに超えた議席率を手に入れることができるのである。

ただしこの結果は、単純に小選挙区だからというわけではない。繰り返しになるが、自民党が強力な地盤を有する小県が小選挙区だからである。仮に都市部が小選挙区、農村部が中選挙区であれば、逆の結果が生じるはずである。

いずれにしても、現状の農村が小選挙区で都市が中選挙区となる参院選挙区の構成は、自民党側から見れば自らの強い地域では「勝者総取り」、弱い地域では比例的に議席を獲得できるという点で、極めて有利な制度であることは間違いない。