どれだけ医学が進歩しようが、治療する医師に技量がともなっていなければ、患者にとって意味はない。そして、実はそんな医師が山ほどいる。
「あれは直腸がんの患者(70代・男性)の腹腔鏡手術に立ち会った時のこと。執刀に当たったのは、まだ経験の浅い医師でした。手つきがぎこちなくて危なっかしいなあと思って見ていたのですが、その先生が手術中に突然『あっ!やってしまった』と声を上げたんです。
前立腺にまでがんが浸潤していたので、慌ててがんを切ろうとしたら、前立腺を傷つけてしまった。出血が止まらなくなり、腹腔鏡のモニターはあっという間に真っ赤に。先生は『どうしよう、どうしよう』と言って、完全にパニックに陥っていました」
こう語るのは、大学病院に勤務する看護師だ。さらに続ける。
「麻酔科医や他の看護師が、『先生、落ち着いてください』と言っても、その医師は『ヤバい、ヤバい』と慌てるばかり。高齢の患者さんだったので、体力的な心配もあり、現場にはかなりの緊張が走りました。
その後、何とか出血は止まりましたが、緊急輸血をせざるをえなくなり、患者さんの身体にもかなりの負担がかかったと思います。運悪くヘタな医者に当たってしまった患者さんが可哀想すぎます」