台湾に親日家が多い「本当の理由」意外と知らない“日台関係の深層”

直木賞作家がひも解く
乃南 アサ

台湾はかつて日本の植民地だった

どうして台湾にはそんなにも「なぜ」が多いのか。答えは一つ、台湾がかつて五十年間、日本の植民地だったからだ。この事実を知らない人が、あまりにも多い。仕方がないのだ。戦後の学校教育では、ほとんど教えてこなかった。

もしかすると「植民地」という言葉そのものが半ばタブー視されていたのだろうか、どうしても必要な場合は「かつて統治時代に」などといった、子どもにはまるでピンと来ない遠回しな表現ばかりが使われてきた感がある。

日本は第二次世界大戦で無条件降伏するまでの五十年間、台湾を植民地支配していた。きっかけは日清戦争に勝利したことだ。日本は、それまで清の支配下にあった台湾を割譲され、すぐさま大量の兵を送り込んだ。抵抗する人たちは容赦なく征伐し、マラリアなどの疫病と戦いながら、やっとのことで島を平定した。台湾神社に祀られていた北白川宮能久親王は、そのとき近衛師団長として真っ先に台湾上陸を果たし、そのまま台湾で生命を落とした皇族だった。

台北をはじめとして、中国風の古い城壁に囲まれた小さな町が点在するだけだった台湾に、日本は台湾総督府を置いて、それまで細々としかつながっていなかった鉄道を全島に敷き、新たな道を拓き、城壁を取り崩して街の衛生環境を整え、産業を興していった。説得に応じず、あくまで帰順しない人たちは容赦なく討伐した。

明治・大正・昭和と、欧米列強がアジア諸国に乗り出してきた時代、その力に屈することなく日本という国を守り続けるために、日本も死にもの狂いで近代化に励み、力を蓄えるより他になかったからだ。だから、台湾にも豊かな島になってもらわなければならなかった。