台湾に親日家が多い「本当の理由」意外と知らない“日台関係の深層”

直木賞作家がひも解く
乃南 アサ

そこにはかつて台湾神社が

だが、もしも三人の見た円山大飯店の建っている場所が、かつて台湾でもっとも重要な神社と位置づけられていた台湾神社があった地であり、そこには「台湾平定の英雄」として北白川宮能久親王が祀られていたことを知ったら、彼らはどう感じただろうか。

神社の傍には動物園があって、台北の子どもたちは遠足といえば、まず台湾神社にお参りし、その後で動物園に行くというのが定番だったという。もしもそんな話を聞いたら、なぜ、と思わないだろうか。

なぜ台湾に日本の神社が建っていたのか。台湾の子どもたちが、どうして遠足の度に、その神社にお参りしなければならなかったのか。北白川宮能久親王という人は、どんな理由で台湾で祀られる必要があったのだろう。第一、台湾「平定」とは何のことなのか。

円山大飯店一つとっても、実はそれだけの「なぜ」がある。台北という都市、さらに他の地域、台湾全体へと範囲を広げていけば、それこそ膨大な数の「なぜ」が溢れている。

ただし、そういう視線を持たなければ、「なぜ」は見えてはこないだろうし、たとえば町並みの中に昔の日本「そっくり」に見える建物を見かけたとき、ふいに「なぜ」が頭を過ぎることがあったとしても、そのままあっさりとやり過ごしてしまうに違いない。