原点は「力士御用達」大きいサイズの紳士服・サカゼン社長の経営哲学

週刊現代, 夏目幸明 プロフィール

村上社長の経営哲学

1+1=?

私が社長になって学んだのは、性善説に立ったほうが人は育つという事実です。父は優秀な社員を集めるため、大手商社よりも給与をはずみ、人を募集した時期がありました。その方たちはほとんど退職せず、当社の礎を築いてくれました。また、社員が悪事を働くと「俺が悪かった。彼の親御さんに顔向けできない」と自分を責めていた。

しかし、それくらい人間を大切にしているからこそ、人に仕事を任せられる。各店の店長には、何をどこから仕入れ、どんなアルバイトを採用するかまで任せています。そして、責任を伴う仕事を任せるからこそ人は育つ。とくにお店の経営は難しく、経営陣が「こうすれば?」と思っても、現場ではその通りになりません。1+1が2にならないのが現場なのです。それならば、いったい何になるのか—それを体感してこそ、人は育つ。だから、性善説に立ち、頑張ってくれると信じて任せるほうがいい。

むらかみ・たかし/'59年、東京都生まれ。城西大学経済学部在学中から父の会社を手伝い、卒業後の'83年に坂善商事に入社。その後、'85年に『ゼンモール』を創業。'05年に代表取締役社長に就任し、以来現職。コーポレートスローガン「拡大より人間性」を掲げる。現在、関東圏だけでなく仙台、名古屋にも出店

いいとこ

休日はジムに行き、庭の草刈りをします。歴史小説が好きで、なかでも山岡荘八の『徳川家康』がお気に入りです。伊達政宗、武田信玄など、それぞれタイプが違いますが、現代の我々はそれぞれのいいとこ取りができます。

趣味はお酒を飲んで人としゃべること。社員にも取引先にも、必ずいいところがあります。それを知り、会社のためにそれぞれのいいところを使わせてもらいます。

重量級

これからも、大きいサイズの市場を盛り上げます。先日は、当社専属モデルを募集するため、大きなサイズの方ばかり約300人を招き、オーディションを開催しました。気持ちよかったのは、最終選考に残った方たち向けにささやかな宴を開いた時のことです。ピザをかなり多めに用意したのですが、あっという間になくなり、コンビニ2店舖でおにぎりなどを買い占めやっと足りました。痛快でしたね(笑)。

と、こう語っておいてなんですが、困っていることもあるんです。実は当社を「大きいサイズの専門店」とお考えの方が多いのですが、これは違います。当社は普通サイズの服も扱っており、最近は「ハイブリッドビズ」という商品も大ヒットさせています。縦にも横にも伸びる生地を使ったスーツで、着心地がよく、試着するとほとんどの方にお買い求めいただけます。ぜひ普通サイズの方にもご来店いただきたく思います(笑)。

『週刊現代』2016年7月16日号より