若い医者ほどやりたがる……内視鏡・腹腔鏡手術は危ない!

開腹よりもはるかに難しいのに
週刊現代 プロフィール

この医師が行った肝臓の内視鏡手術は安全性が確立しておらず、そのため実施前に病院の倫理委員会に届け出て承認を受ける必要があり、もし手術で患者が死亡した場合、病院に届けねばならなかったが、この医者はどちらも怠っていた。

さらに直属の監督者である第二外科の教授は、多数の死者が出ていることを知っていたにもかかわらず、手術を仕切るこの医師にすべてを任せ切りで、事態を重大視するどころか、暴走を放置していたのだ。

「開腹手術と腹腔鏡手術のどちらを選択すべきかは、がんの部位や進行度など患者のほうの要因の他に、執刀医の経験、技量を考慮して慎重に決めなければなりません。

また、病院内の医師同士できちんと協議した上で手術方法を判断すべきでしょう。そうした体制がとれておらず、院内で力をもつ医師の一存で手術方法が決定されるのは非常に危険です」(前出の有井氏)

若い医者ほどやりたがる

技量の伴わない医者に殺される——。患者にとってこれほど無念なことはない。

「どんな医者でも安全に簡単に手術ができる」として広まった内視鏡、腹腔鏡手術だが、現実的には、個人の技量によって大きく結果が変わる難しい手術なのだ。

この手術の問題点は技術的な難しさだけではない。実際に患部を目で見る開腹手術と違って、モニター越しでしか見ることができないので視野が狭く「がんの転移を見落とす」可能性が高いのだ。

都立駒込病院名誉院長で、日本消化器外科学会特別会員の森武生医師が説明する。

「内視鏡で手術を行うとリンパ節への転移が分からないのです。術前の検査で(リンパ節にがんがあるかを)見ますが、それでもがんの深さによっては約2割の人が見過ごされてしまう。

また腹腔鏡の場合は、隣の臓器に侵食しているがんに対して成功率が高 くない。再発が多いのです。その理由はがんを取りきれていないから。開腹すれば、すべて目で見てきれいに取れるのに、腹腔鏡でやったばかりに再発するなん て、私なら患者さんに申し訳が立たないですよ。でも、そういう意識が低い医者がいることも事実です」

内視鏡や腹腔鏡手術の場合、直接臓器に触れないので、患部の状態が把握しづらいのも難点だ。医療ジャーナリストの油井香代子氏が語る。