32年ぶりの快挙!広島カープはなぜ11連勝できたのか

スポーツコミュニケーションズ, 上田

底上げにつながった2010年以降のドラフト戦略

何より大きかったのは、2011年2位の菊池涼介(中京学院大)と2013年3位の田中広輔(JR東日本)だろう。

菊池は中央では無名の大学生だったかもしれないが、新人の年のキャンプから俊敏な動きは際立っていた。今では1試合に一回は、信じられないようなスーパープレーを見せるけれども、これは決して球団が育成した守備ではない。

今年、1番ショートに定着した田中の成長も、快進撃を語る上では欠かせない。

田中の守備は、入団時よりは格段に鋭く、速く、うまくなった。もちろん、球団の育成のたまものと言ってもいいが、私は菊池の影響だと思う。二遊間コンビを組む菊池があまりにもスピードにあふれた鮮やかな守備をするので、自然とそれにつられて上達したという印象がある。

ちなみに1~3番で固定されている田中、菊池、丸佳浩は同学年である。丸は安部が1位指名されたときの3位である。いまでは、どう考えても、1位と3位の評価は逆としか思えないが、当時、千葉経済大附属のエース(丸)はバッティングがいい、という評判はすでにあった。

それよりも安部を優先したのは、打撃の技術よりも「俊足巧打」の素質を買って、育てようとしたということだ。しかし、実際に大きく育ったのは、丸のほうだった。

ともあれ、2010年以降のドラフト戦略が、戦力の底上げを下支えしていることは間違いない。

鈴木に話を戻すと2012年のドラフト2位である。いまとなっては、1位の高橋とは明らかに評価が逆だが、このあたりは、どんな名スカウトも、誰が化けるかまでは見抜けない、ということでいいのではあるまいか。むしろ、他球団に先んじて2位で指名したことが、現在の快進撃につながったというのが冷静な分析だろう。

近年、鈴木と同じように期待されて入団した打者に、堂林翔太と野間がいる。野間には今季、なぜかルーキーだった昨年の輝きがない。堂林は一時期ブレイクしかけたけれども尻すぼみ。この伸び悩む2人と鈴木を比べると、鈴木の体が、去年から一気に大きくなった印象がある。

別に身長が伸びたわけじゃありませんよ。体に実が入って、ひとまわり大きく、強くなった。そのせいで、圧倒的に振る力がついた。打撃練習で鈴木の打球音だけ違ってきこえるようになった、というのは、春先から多くの評論家が語っていたことだ。ようするに、いままさに化けつつあるのだ。3人のうち1人化ければ、なかなかの確率である。

資金力とファンの力

次にカープ躍進の原因として、よく指摘されるのが、外国人選手の成功である。打者ではブラッド・エルドレッドとエクトル・ルナ、投手はクリス・ジョンソン、ブレイディン・ヘーゲンズ、ジェイ・ジャクソン。

ジョンソンは左腕では日本球界一の投手かもしれない。ヘーゲンズ、ジャクソンはセットアッパーとして大いに勝利に貢献し続けている。

たしかに、担当スカウトの眼力は評価に値する。

しかし、たとえば去年は、球団史上最高額の契約というふれこみで、2人の打者を獲った。ヘスス・グスマンとネイト・シアーホルツ。もはや忘れた方のほうが多いだろう。ほとんど活躍できなかった。ここで注目してほしいのは2人立て続けに「球団史上最高額」というふれこみだったことだ。つまり、それだけの資金があるということである。

今年の6月4日にはジョンソンと新たに2017年から3年契約を結んだと発表された。この年俸が300万ドル(約3億1950万円)プラス出来高といわれ、またまた、球団史上最高額を大幅に更新した。