役所は教えてくれない 60以後の「得する働き方/損する働き方」

エッ、働いたら年金が減っちゃうの?
週刊現代 プロフィール

社会保険労務士でFPの井戸美枝氏は、いくつかの方法があると話す。

「ひとつは、定年退職後に再び働くときには、厚生年金に入らない働き方を選ぶ、というやり方です。たとえば、従業員数が500名以下の小さな会社で働く。それまで勤めていた会社以外の企業で働く場合、60歳以降での再就職先としては、こうした会社になる例は多いと思います。

また、従業員数が501名以上の会社で働く場合でも、労働時間が週に30時間未満であれば、やはり現在では厚生年金に入る必要がないので、在職老齢年金の制度による減額は発生しません」

再就職しても厚生年金に加入しなければ、年金は減額されない。だが、これから再就職を考える人の場合、この方法を使うための条件は厳しくなってくる。今年10月から制度が変わるのだ。前出の岩田氏は、こう注意する。

「10月からは、従業員数501人以上の企業でも『週20時間の労働』、『1年以上の雇用継続見込』、『月々の賃金8・8万円以上』という条件に該当すると、厚生年金に強制的に加入させられることになりました」

パート従業員などの社会保障を手厚くする施策だが、年金を減額されずに働きたいと考えれば、面倒な制度改正だ。

 

では、他に年金を減額されない働き方としては、どんな方法があるのだろうか。前出のFP横川氏は、こう話す。

「自営業になって独立・開業すれば、厚生年金に加入することがないので、年金を減額されることはありません。

実際、資格の学校に行ってみると、シニア世代の方が結構、多いんです。社会保険労務士だとか、FPだとか。雇用保険に加入していて、3年以上勤めた会社を退職したあと1年以内であれば、教育訓練給付金といって資格試験のための勉強にかかる費用の20%が給付されますから、定年退職後もそれを活用される方は多いと思います」

教育訓練給付金の対象となる資格は、社労士やFP、行政書士や不動産鑑定士など幅広い。これまでの自分の仕事と関連する、敷居の低い分野を狙って資格を取る方法もあるだろう。『保険と年金の怖い話』などの著書があるFPの長尾義弘氏はこう付け加える。

「資格をとって独立する際は、多くの自治体がシニア層のための支援制度を用意しています。たとえば東京都では『女性・若者・シニア創業サポート事業』があって起業資金が無担保、低利で融資されます。

ただ雇用保険に関連して注意してほしいのは、厚生年金を受給している65歳未満の人が失業手当を受け取ってしまうと、年金が停止されてしまうことです。65歳以上では、この停止措置は適用されません」