役所は教えてくれない 60以後の「得する働き方/損する働き方」

エッ、働いたら年金が減っちゃうの?
週刊現代 プロフィール

さまざまな理由で削られていく、私たちの年金。働くことで細かく削られるのは、実は年金だけではない。社会保険労務士でFPの佐藤敦規氏は、こう注意する。

「高齢になって高額になりがちな医療費にも、所得に応じて変化があります。一例は、長期の入院時などに心強い高額療養費制度。収入に応じて一定額以上の医療費は払わなくてよいという制度です。

この制度では、たとえば70歳未満の場合、年金と働いた分の収入を合わせて、年間の収入が370万円を超えると区分が変わってしまいます」

医療費でも「損」をする

どういうことか。高額療養費制度では、70歳未満で年収約370万円までの人は、ひと月あたりの自己負担額の上限が5万7600円までと定められている。どんなに医療費がかかっても、この金額を超える自己負担額は還付される。年齢を重ねて体調を崩し、何度も病院に通うことの多い60すぎの身としては、ありがたい制度だ。

だが、自己負担限度額は、年金を含む年収が約370万円~約770万円の区分になると変わり、8万100円+(医療費-26万7000円)×100分の1で計算されるようになる。

もし、100万円かかる治療を受け、3割にあたる30万円が自己負担となったとしよう。年収370万円以下の人なら、自己負担額は5万7600円だから、24万円2400円が支給される。

 

ところが年収が380万円なら、自己負担額は8万100円+(100万円-26万7000円)×100分の1で、8万7430円。戻ってくるのは21万2570円になる。年収で10万円の違いと言えば、月給ではわずか数千円の差。それだけで、公からもらえるカネを3万円も損してしまうのだ。前出の佐藤氏は言う。

「年金を受け取る世代の人が働く際には、こうしたさまざまな制度との兼ね合いを考える必要があるのです」

再雇用で働いて稼ぐ賃金は、家計という大きな目で見ればプラスの収入になっていることは確かだ。だが、せっかく働いたにもかかわらず、それが原因でもらえるはずだった年金や給付金が、いつの間にやら減額されるのだからたまらない。

いったいどうすれば、減額措置の影響を最小限に抑えることができるのだろうか。