広島カープ「新・黄金時代」がやって来た!現役コーチたちが明かす「最強打線」の秘密

25年ぶりリーグ制覇へ
週刊現代 プロフィール

丸と同様、室内練習場にいた鈴木は、球団スタッフが投げる時速80kgに満たないゆるいボールと格闘していた。その昔、3冠王を3度獲得した落合博満も現役時代に取り組んでいた練習である。

しかし鈴木の頭には、そんなイメージを描く余裕すらない。納得いかないボールのとらえ方だと少し上を見上げ、またボールに対峙する、の繰り返し。背番号51になぞらえ、「赤イチロー」と期待される4年目の大器は、大粒の汗を飛び散らせ、一心不乱にバットを振り続けた。

「僕、タイミングを取るのが下手なんです。だから自分の中で、どうやったら一番タイミングが取りやすいのかなと、足を上げたり、スタンス幅を狭めて上げてみたり、いろいろ試しています。今も探していますね。まだこれだ、というものは見つかっていないので今、なぜ打てているのかも、実はわからないんです。

ただ、去年ずっと試合に出させていただいて(97試合)、今年は一軍に慣れてきて、ちょっと考える余裕ができてきました。そういう経験が生きているんじゃないかなと思います」

「1点をもぎとる」野球

お立ち台にあがり「最高です」と絶叫しながら、バケツの水をかぶるパフォーマンスをする男は、3戦連発の快挙をなしとげた翌20日、チームはオフでもマツダスタジアムに姿を見せ、ウェートトレーニングなど1時間半、汗を流していた。鈴木が続ける。

「1発目となった17日のオリックス戦も、その前の打席で、サヨナラのチャンスに凡退してしまった。だから、悔しさしかない。これから何本もああいうホームランを打てるわけではないので、(3戦連続決勝弾は)たまたまだと思っています。

今は本当に必死です。練習する時間がもっとほしいですし、一日が短く感じます。一日打てなかったらスタメンを外されると常に思っていますし、ほかにもいい選手はいっぱいいます。チーム内での競争がすごく激しいんです」

21歳のスター候補生に浮かれる余裕を与えない。それが現在、広島の好調を支える要因でもある。鈴木が台頭し、5年目の菊池涼介(26歳)や9年目の丸佳浩の「キクマルコンビ」が復活、そして3年目の田中広輔(26歳)が不動の1番となった。

いずれも平成生まれのカルテットを、野手最年長の39歳、新井貴浩や大砲・エルドレッドが牽引する。新・黄金時代到来を予感させる赤ヘル打線をどうやって作ったのか。そのヒントを高信二ヘッドコーチが明かした。

「ウチは今年、一軍打撃コーチ3人制を敷いています。よりきめ細かく指導するためで、球団の方針なんです。チーフ格の石井(琢朗)のほか、東出(輝裕)、迎(祐一郎)と3人で役割分担をしています。ミーティングでは全体的な話を石井がして、対戦する投手によって、若い2人のどちらかが仕切るんです」

専任の「打撃コーチ」の肩書がついた一軍コーチが3人いる球団は12球団見渡してもカープのみ。そこには、攻撃力再生にかけた、並々ならぬ執念がすけてみえる。