憲法学者・木村草太が各党の「改憲」マニフェストを読む〜いま最も危惧すべきポイントは?

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木村 草太 プロフィール

ただし、教育無償化について、国会内合意ではなく、国民投票を行い、憲法に規定することで、国民全体のコミットメントを確保しようという主張であれば、立法ではなく、改憲という形で提案することに、一定の説得力がある。

あるいは、道州制についても、現在の憲法では長の公選が要求されているため、自治体が議院内閣制を選ぶことはできない。この点を変えようと言うなら、確かに憲法改正が必要である。

そういう意味では、おおさか維新の提案も理解できないわけではない。

公明党:与党になって消えた「加憲」の主張

続いて、公明党。

公明党は改憲勢力の一つとして数えられている。しかし、今回のマニフェストには、「憲法改正」の項目はない。また、外交・安全保障の項目(安定した平和と繁栄の対外関係)など他の項目を見ても、憲法を改正しないとできないような政策は書いてない。

ちなみに、かつての公明党は、現在の憲法の条文はそのままに、環境権などの新たな条文を追加する「加憲」を主張していた。

この点について検討するためには、「環境権とは、誰が誰に対し何を請求できる権利なのか」を確定する必要がある。自然環境保護権などのようなものだとすれば、辺野古基地建設に反対する団体が、ジュゴンの保護を求めて国に対して辺野古の埋め立ての差し止めを求めることができるようになるだろう。

あるいは、日照権などのようなものだとすれば、地元住民が建設事業者に対して大規模建築を差し止めることができるようになるだろう。あるいは、安全な環境で生きる権利のようなものだとすれば、原発の危険を訴える住民が原発の差し止めを求めることができるようになるだろう。

こうした権利は、憲法を根拠にできないかと議論されてはいる。もしも環境権条項が「加憲」されれば、こうした議論は勢いづくことだろう。ヨーロッパでは、環境権を理由に国土開発などが滞った経験があるようだ。

国土開発計画とは直接の関係がないところで生きている私としては、環境権が憲法に明示されてもおそらく困ることはない。しかし、政権与党としては、なかなか採りにくい政策だろう。

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