テレビからCMが消える日〜『報道ステーション』と『笑点』「分刻み視聴率」分析で“ヤバい現状”が明らかになった

スポンサーと局が抱える「矛盾」と「限界」
週刊現代 プロフィール

ある日突然死する

元テレビプロデューサーで、上智大学教授(メディア論)の碓井広義氏が語る。

「テレビCMの価値がどんどん下がっていく流れはもはや止められるものではありません。たくさんの人が、同時に同じ情報に触れる。これがテレビというメディアの媒体価値だったわけです。

しかし、現在では、決してユーザーの優先順位のトップにあるとは言えない状況になってきました。視聴率が10%を超えれば合格という今の時代に、企業がかつてと同じだけの広告費をテレビに投入できるかというと、そうはいきません」

電通の発表によると、'15年のテレビ広告費は1兆9323億円(前年比98・8%)、対するネット広告費は1兆1594億円(前年比110・2%)と追い上げている。

広告業界に詳しいマーケティング会社インテグレート代表の藤田康人氏が言う。

「いま広告業界とテレビ業界で恐れられているのは、『テレビCMの突然死』です。私たちの調査では、テレビCMの視聴者へのリーチ(到達率)が最大40%というケースもありました。

これが30%、20%となった瞬間に、特に若者向けに事業をしている企業が『もうテレビ広告は必要ない』と一斉に見切りをつける日がくるかもしれません。すでに『この商品は若者向けだから、テレビCMはナシでプロモーションしよう』という企業が増えています」

ある民放テレビ局の社員はこう漏らす。

「ウチの中学生の娘は、普段はタブレットPCを使って、有料動画配信サービス『Hulu』で海外ドラマばかり見ています。『CMがないから見やすい』って。たまにテレビでバラエティを見ても、CMに入るとスマホをいじり出して、画面をまったく見ていません」

テレビを見ながら、スマホを利用する人は6割におよぶという調査結果がある。当然、CM中はテレビに集中していない。皮肉なことに携帯電話会社を筆頭に、ドラマ仕立てのCMを作って対策を講じているが、果たしてどれくらいの人が内容をしっかり見ているのか。