安倍政権の黒幕「日本会議」のナゾと、支配されたマスコミの危機〜「憲法改正」に向かう不気味なものの正体

中島 丈博 プロフィール

これはまるで青春群像劇だ

内閣総理大臣補佐官の衛藤晟一、日本青年協議会会長であり日本会議の事務総長でもある椛島有三、安倍政権の筆頭ブレーンで日本政策研究センター代表の伊藤哲夫、中国による南京事件のユネスコ記憶遺産登録に反対する意見書を作成した保守的言論人である高橋史朗、集団的自衛権は合憲であるとする官邸側のイデオローグ憲法学者の百地章、それらの「一群の人々」の来歴を洗い出していく著者の筆致は一種スリリングでさえある。

彼らのルーツが70年代の「生長の家学生運動」や長崎大学での左翼学生のバリケードに抗しながらの学園正常化運動に身を挺する民族派学生たちという原点に辿り着いたとき、なにやら壮大な青春群像劇に接しているような錯覚さえ呼び起こさせる。衝撃的な一書であると言うべきだろう。

それにしても、自民党は参院選挙で憲法改正の争点化を避けて相も変わらぬ経済政策推進の是非で誤魔化すらしい。このような擬態は日本会議の正体隠しと相似を成すものかもしれない。

今般の公選法改正の成果をどうやら安倍政権は期待しているのではないだろうか。上杉聰著『日本会議とは何か――「憲法改正」に突き進むカルト集団』は、それに関連しての日本会議の教科書運動を取り上げている。

憲法改正に向け国民投票の賛成票を増やす工作として中高生への教育が大きな位置を占めるとして、日本会議は「日本教育再生機構」なる組織を発足させて育鵬社から中学校向けの歴史、公民の教科書を発行している。

憲法問題についての記述は歴史教科書に、「大日本帝国憲法のほうが素晴らしい、現在の憲法はGHQの押しつけであった」などと強調してあり、それらは日本会議の「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が発行した巨大チラシとまったく同様の主張なのである。