野口悠紀雄が実践した「究極の文章法」〜スマホ「音声入力」で本を書き上げた!

これが未来の当たり前だ

―音声入力という方法は、高齢者などIT機器をあまり使ってこなかった人に大きな可能性をもたらすとも書かれています。

高齢者が使わなかった理由は、キーボードを打つのが面倒だったからでしょう。しかし、音声入力を使えば、検索も簡単です。

私は電車の時刻表も、駅でわざわざ見たりしない。スマートフォンに向かって、駅名と路線を言うだけで時刻表が出てきますから。旅行先でその土地の歴史の情報を得るのも簡単です。年号や単位の換算も、スマートフォンに話しかけるだけ。地図も住所を言うだけで見られます。

ぜひチャレンジしてほしいのは、自分史づくりですね。自分の歴史を残しておきたい、という人は少なくない。でも、どこから始めていいのか、わからない、という人が多いでしょう。

そういう人は、スマートフォンに向かって、まず何でもいいから語ってみることです。そうすると、それが文字になって残される。そこから、これも語ろう、あれも語ろう、と付け加えていけばよい。そうやって、とにかく材料を入力していく。そして記録に残ったものを、整理していけば、ほらもう、完成です。

―人工知能はさらに進化していきそうです。

本書は、文章を書くのは人間で、考えるのも人間、という前提で書いています。しかし、この前提がいつまで続くかは、わからないですね。私が生きている間は、この前提が続いてほしい、と切に願っています。

(取材・文/上阪徹)

のぐち・ゆきお/'40年東京都生まれ。'63年東京大学工学部を卒業し、'64年大蔵省入省。'72年イェール大学で経済学博士号を取得。スタンフォード大学客員教授などを経て'11年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問

『週刊現代』2016年7月9日号より