野口悠紀雄が実践した「究極の文章法」〜スマホ「音声入力」で本を書き上げた!

これが未来の当たり前だ

―そのメモこそが文章を構成するための材料になっていくわけですね。

何かをハッと思いつくと、すぐにスマートフォンに向かって話しかける。そうすると、文字でメモしておいてくれる。そのメモを眺めていると、いろいろなことが浮かんでくる。これも言いたい、こういう見方もある、こっちの考え方はどうか……。そのようにして、一人でアイディアを試行錯誤的に育てることができる。

とにかく文章の材料を出しておいて、別のデバイスで順番を変えたり、論理構成を整えたり、また新しい情報を加えたりして、長い文章を作っていく。実際、今は雑誌の連載もこのようにして作っています。

朝の寝起きにアイディアが浮かぶことも多い。そのときには、枕元に置いておいたスマートフォンにすぐに話しかけます。メモを取れたら、そのメモを見ながらまた思いついたことを話しかける。そうやって次々に材料が浮かんできて、時には原稿の三分の二ほどがこの段階でできてしまうこともあります。それこそ、朝飯前に、ですよ(笑)。

 予想外に簡単で便利

―仕事の進め方やスタイルが大きく変わったのは、この半年くらいだそうですね。ここまで短期間で激変したことは経験したことがない、と。

スマートフォンで音声入力ができることは以前から知っていましたが、あまり使っていませんでした。今はネット検索でも音声入力を使っていますが、それまで検索はPCの前でキーボードを叩いて言葉を入れるという習慣が身についていました。

人間はひとつのやり方に慣れていると、新しい技術が出てきても、それを取り入れないんです。

ところが、文章入力をやってみたら非常に簡単で便利でした。メモに使うようになったのですが、長い文章もやってみたらできたんですね。

私の仕事スタイルが大きく変わったのは、圧倒的に便利だからです。文章を書くときは、書き始めることが大変だった。およその内容が固まらないと書き始められない。ところが、アイディアを話してメモすることで、すでに文章を書く仕事が実質的にスタートしているわけです。メモから文章が生まれてくるわけですから、本当にラクに書けるようになりました。