知っておきたい 人間を惑わす「4つの思い込み」〜「知は力なり」とはこういうことだ!

大人も受けたい瀧本哲史の感動講義2
瀧本 哲史

3 言葉の思い込み(市場のイドラ)

みなさんの学校でも、いろんなうわさ話を聞きませんか? 「あの校舎の3階のトイレにはオバケが出る」とか「あの子とあの子はつき合っている」とか、たくさんのうわさが流れていると思います。

あるいはテレビやインターネットでも、芸能人のうわさ話を耳にするでしょう。

言葉とは恐ろしいもので、たとえ自分が経験していないこと、そしてありえないようなことでも、人から「あの先生とあの先生、ほんとうはものすごく仲が悪いらしいよ」と聞くと、思わずそれを信じてしまうようなところがあります。

こうした伝聞にまつわる思い込みのことを、ベーコンは「市場のイドラ」と呼びました。たくさんの人が集まる市場で、うわさ話が広がっていく様子から名づけられた言葉です。

たとえば、みなさんのお父さんやお母さんが若いころ、「ノストラダムスの大予言」といううわさ話が日本じゅうに広まったことがありました。1999年の7月に「恐怖の大王」が空から降ってくる、人類はそれで滅亡する、という話です。いまとなっては笑い話ですが、たくさんの「予言の本」も出版され、本気で信じる人もたくさん出るなど、大騒ぎになりました。

また、冷静に考えればウソだとわかるはずの振り込め詐欺は、「市場のイドラ」に振り回されやすい人間の弱さにつけこんだ犯罪といえるかもしれません。

4 権威の思い込み(劇場のイドラ)

みなさん、先生の言うことを信じすぎていませんか?

もちろん、正しい先生はたくさんいます。尊敬できる先生、恩師と呼べるような先生との出会いは人生の宝です。

でも、先生の言うことを「偉い人が言っているから」という理由で信じてはいけません。われわれ人間は「偉い人」や「社会的に認められている人」、「テレビや新聞に出ている有名人」などの話を、つい鵜呑みにしてしまうところがあります。

こうした思い込みのことを、ベーコンは「劇場のイドラ」と呼びました。舞台の上でのみごとな演技を、つい真実のように錯覚してしまう観客から名づけられた言葉です。大切なのは「誰が言っているか」ではなく、その人が「なにを言っているか」だと理解してください。もちろん、過去の常識に縛られる必要もありません。

一例を挙げるなら、テレビで紹介されていたあやしいダイエット法を、「こんな専門家が言ってるんだからほんとうだろう」「テレビで紹介されているんだから正しいはずだ」と信じ込むこと。これは典型的な「劇場のイドラ」です。

以上が、ベーコンの考える4つの「思い込み」です。

人間のからだや脳のしくみなどからくる「人間の思い込み」。

自分の考えはすべて正しいと勘違いしてしまう「個人の思い込み」。

まわりの評判やうわさ話を鵜呑みにする「言葉の思い込み」。

そして、偉い人や有名な人の言うことを信じてしまう「権威の思い込み」。

人間はどうしたって、これらの思い込みにとらわれてしまうものです。学校の先生でも、会社の社長さんでも、総理大臣や大統領だって同じです。もちろんみなさんも、自分で気づかないうちにたくさんの思い込みにとらわれているでしょう。これは人間を縛る、鎖のようなものです。