知っておきたい 人間を惑わす「4つの思い込み」〜「知は力なり」とはこういうことだ!

大人も受けたい瀧本哲史の感動講義2
瀧本 哲史

1 人間の思い込み(種族のイドラ)

みなさんも、一度くらいは迷子になったことがあると思います。どうして迷子になるのかといえば、建物や壁に阻まれて、自分の歩く先がよくわからないからです。

もしも人間が鳥のように空を飛べたなら、もう道に迷うことはありません。高いところから見れば、正しい道は簡単にわかりますし、そもそも「道」を歩く必要もないからです。

人間は、身体的な特徴、あるいは脳のしくみなどによって、なにかを知るうえでさまざまな制約を受けています。こうした「人間であること」に基づく思い込みのことを、ベーコンは「種族のイドラ」と呼びました。

たとえば、朝日や夕日は昼の太陽より大きく見えます。しかし、太陽の大きさが変わるわけではありません。これは目の錯覚で、ベーコンのいう「種族のイドラ」なのです。

2 個人の思い込み(洞窟のイドラ)

みなさんはそれぞれ自分だけの人格をもった、オンリーワンの人間です。生まれた場所も、育った環境も、趣味も、好きなアイドルも、それぞれ違います。

でも、この「みんな違う」という事実を頭に入れておかないと、おかしなことになります。「わたしはこう思う。だからこれは、みんなにとっても正しいはずだ」と、自分勝手な判断をしてしまうんですね。

サッカー部の人が「サッカーがいちばんおもしろいスポーツだ」と考えるのは自由ですが、それを野球部やバスケットボール部の友だちにまで押しつけてはいけません。なにがおもしろいか、なにが楽しいか、なにが正しいのか、といった考えは、それぞれの個人が自分で決めるべきものなのです。

あるいは、パソコンやインターネットを「子どもが触るものじゃない」と考える大人たちがいます。子どもはもっと外で遊ぶべきだ、パソコンで遊ぶなんて不健康だ、と考える大人たちです。

どうしてそんなふうに考えるのか?

答えは簡単で、彼らが子どものころにはパソコンもインターネットもなかったからです。「自分もそうやって育ったのだから、いまの子どもたちも同じように育つべきだ」と考えているんですね。

こうした自己チューな思い込みのことを、ベーコンは「洞窟のイドラ」と呼びました。これは、狭い洞窟のなかから世のなかを眺めているようなものだ、という意味です。世界はもっと広いのだし、時代は刻々と変化しています。人それぞれにたくさんの考え方があることを知りましょう。