知っておきたい 人間を惑わす「4つの思い込み」〜「知は力なり」とはこういうことだ!

大人も受けたい瀧本哲史の感動講義2
瀧本 哲史

人間を惑わす4つの「思い込み」

それではなぜ、哲学者でもあったはずのベーコンは、昔ながらの哲学を否定するような考えをもったのでしょう?

彼は、人間がおちいる「思い込み」の罠を恐れていたのです。

たとえばいま、みなさんがまっ赤なレンズのメガネをかけているとします。

そこから見える世界は、きっとおかしな色になりますよね? 白い壁がピンク色に見えたり、木々の緑が黒っぽく見えたり、およそ正確な色を知ることができなくなる。壁や植物の色だけでなく、信号の色さえわからないのですから、日常生活にも困ってしまう。そんなメガネ、すぐに外してしまうでしょう。

でも、自分の知らないうちに、それこそ赤ちゃんのころからずっと赤いメガネをかけていたら、どうなるでしょうか?

……そう、たぶん自分が赤いレンズを通して世界を眺めていることに気づかないまま、ほんとうの赤や青や黄色を知らないまま、「世界はこんな色なんだ」と思い込んでしまうはずです。

ベーコンは、こうした「思い込み」から抜け出さないと、ほんとうの「知」にはたどり着けないと考えました。

人間は、心のなかでどんな「思い込み」のメガネをかけているかわかりません。昔の人たちは、月にウサギがいると思っていました。池や川でおぼれるのは、河童が足を引っぱるからだと思っていました。雷が鳴るのは、雲の上でカミナリ様が怒っているからだと思っていました。そしていまのみなさんたちも、これとよく似た「思い込み」にとらわれている可能性は高いのです。

世界を正しく眺めるために、そして世のなかのウソにだまされないために、ベーコンが掲げた4つの「思い込み(彼はそれをイドラと呼びました)」を紹介します。