知っておきたい 人間を惑わす「4つの思い込み」〜「知は力なり」とはこういうことだ!

大人も受けたい瀧本哲史の感動講義2
瀧本 哲史
ベーコンが、人間を惑す4つの思い込みを説いた『ノヴム・オルガヌム』©EC.B1328.620ib, Houghton Library, Harvard University

古代ギリシャの時代から続く、昔ながらの哲学には限界がある。学問の目標は、地位や名声を得ることでも、いばることでも、誰かを言い負かすことでもない。ほんとうの目標は、人類の未来を変えるような、発明と発見にあるのだ。それが「力」だ。

昔ながらの哲学では、誰かを言い負かすことはできても、あたらしい発明や発見にはつながらない。言い争いが続くだけだ。われわれは学問を再生し、学問を立て直さなければならない、と。

そこでベーコンが主張したのが、「観察と実験」の大切さでした。

ものすごくシンプルにいうと、こういうことです。

哲学者は、理屈をこねているだけだ。ちっとも現実を見ようとしない、ウソつきだ。もし、真理にたどり着くようなあたらしい法則を打ち立てたいのなら、自然(現実)をしっかり「観察」し、さまざまな「実験」を重ね、その結果をじっくり検討しなければならない。なんのデータもない口先だけの理屈では、世のなかを変えるような法則は出てこない。

いま、みなさんが聞いたら「そんなのあたりまえじゃん」と思うかもしれません。

理科の授業でやっていることを思い出してください。植物の成長記録、顕微鏡での微生物の観察、二酸化マンガンと過酸化水素水を使った化学反応の実験、ヨウ素液を使った光合成の実験などなど。まさに「観察と実験」ばかりですよね。

ベーコンは、議論をこねくり回す哲学ではない「観察と実験」の先に、未来を変えるような発明があり、発見があると考えました。

こうしてベーコンが唱えた、データ(観察と実験)を重視するあたらしい「知」の方法、事実を踏まえて、理論や結論を導き出すこの考え方は「帰納法」と呼ばれ、これこそがニュートンに受け継がれ、近代科学の基礎となっていったのでした。