孫正義さん、あなたの気持ちはよく分かる!~社長を辞めるのって、実はこんなに難しいんです

中沢 光昭 プロフィール

とりわけ経営者が少年期や青年期に対人関係がうまくいかなくて、異性に人気がなかったり、同性に対して劣等感があったりすると、仲間ができたと実感した時の心強さはより大きなものになる、ということが容易に想像できます。

そうして苦労して得てきたものを手放すことは、得たものが大きければ大きいほど、難しくなる。もう一度始めたところで、どうしても自分が実際に得たレベルの人望と信頼を得るのは途方もなく時間がかかるだけに、やってられない、ということなのでしょう。

「老害? それが何か?」

しかも、これは不思議なもので、成功している創業経営者ほど、仮に理屈上後進に譲った方が明らかに正しかろうとも、本能的に頭が言うことを聞かなくなるのだ、という話も耳にします。

力を持ったリーダーが、高齢になっても組織にいれば、周りから「老害」と疎まれることくらい誰でも知っています。しかし、本人にとってみれば、自分だけはちがうという気持ちになるのです。仮に老害になっている可能性を認めたとしても、自分で作ったハコを自分がいじくって、それの何が悪いんだというところでしょうか。

それもある程度、理解できる理由もあります。

今では大企業であっても、事業の最初の売上1円を取ってくる苦労があったはずです。そのなかで、今に至るまでの苦労をスキップして、後進候補者が何千万、何億円という規模のビジネスを(自分が育てたスタッフを使って)やっている姿を、どこかで受け入れられない感情が湧いてきても不思議ではありません。

それは、後進候補者がどれだけ創業経営者に配慮して動いたところで、すべて「俺が命がけで育てたものを…」という気持ちが出てしまうのです。

さらに言えば、高齢者になってくると「恥」というものに対しての抵抗力が下がるというか、鈍感になってしまうことも関係している気がします。