
「あくまでも、舛添は東京だけの問題」——安倍総理も自民党も、それで幕引きしたい。しかし元をたどれば、舛添氏の背後には彼らがいた。有権者のことをナメていると、痛い目に遭う。
潮目が変わった
「正直、ダメージは否めませんよ。安倍総理は6月第2週から、全国で毎日のように街頭演説に立っていますが、どこに行っても『舛添はどうするんだ!』と罵声をくらっていましたからね。総理は肌感覚で『舛添問題が参院選で逆風になる』と分かっています。
実際、6月に入ってすぐに総理は『早く(舛添を)何とかしたほうがいい』と周囲に漏らし始めた。それで、『盟友』である下村(博文前文科相)さんを動かし、事実上の『官邸主導』で舛添さんに引導を渡したわけです」(官邸スタッフ)
3月に高額な海外出張費が問題になって以降、次々に政治資金の私的流用がバレ、いつしか「史上最悪の東京都知事」と国民から罵られるまでになった舛添要一氏。にもかかわらず、舛添氏は驚異的な「粘り」を見せ、都知事のイスにしがみついた。
「安倍総理の意を汲んで水面下で『舛添切り』に奔走した下村さんには、舛添さんへの個人的な恨みもあった。新国立競技場建設問題で『文科省がグダグダだったから、予算が膨れ上がったんだ』とボロクソに言われたうえに、大臣の座から降ろされたことを、ものすごく恨んでいるんです。
だから、自分の手で舛添さんの首を取りたかった。自民党内では、『下村さんが片付けてくれたおかげで、参院選は何とかなりそうだ』という安堵の声も出ています」(同・官邸スタッフ)
しかし、ある自民党幹部議員はこう漏らす。
「私も立場上『参院選への影響は軽微』と言いたいところですが、残念ながら、遅きに失した」