三菱自動車、歪んだ「エリート意識」の末路〜10年前に書かれた池井戸潤『空飛ぶタイヤ』の洞察力がスゴい

「これほど怒りに駆られて書いた小説はない」
現代ビジネス編集部 プロフィール

三菱自動車の軽自動車の生産拠点水島製作所の下請け会社の社長がこう怒りを表す。

「『いくらでも作っていい、頼むから助けてくれ』と言われて新しい機械を導入し下請けに入りました。しかし、これまでもいきなり仕事が引き上げられることは度々でした。

大きな赤字を抱えたため、本社の担当者に相談に行きましたが会ってもくれません。やっと30分の約束で会っても『うちとは関係がない』と話にも乗ってくれません。

リコール隠しの後、コンプライアンスの徹底と企業風土改革を推進するCSR推進本部を新設し、三菱自動車のどこの支社・関連会社に行っても社内には“誠意を持って対応し、お客さんに満足度を得られるように。協力会社にも同様に”などと書かれたペーパーが張ってありました。

しかし、噓ばっかり言うなよと言いたい。三菱自動車の企業体質は、『空飛ぶタイヤ』そのまま、すべて小説の通りになってるじゃないですか」

最後に、著者の池井戸氏はこう述べている。

「反省もなければ、後悔もない。あるのはただ、歪んだエリート意識のみ。かくして、人を殺し、客を騙す――これほどまで、怒りに駆られて書いた小説はない。迷惑しているのは、世の中の方だ」