「超円高」「日経平均14000円」回避のために、黒田日銀が用意する「バズーカ」フルコース

発射のタイミングはいつ?
小野 展克 プロフィール

一方、嘉悦大の高橋洋一教授は、失業率の下限を2.7%程度だと主張、一段の金融緩和でさらに失業率を押し下げれば、物価上昇への道筋が描けると指摘する。

これについて、日銀幹部は言う。

「日銀として失業率の下限を算出してはいないし、直接的な金融政策のターゲットにはしていない。潜在成長率がゼロ%ちょっとの状況で、なかなか物価上昇のメカニズムが機能しにくい」

黒田自身も「完全雇用と言える状態になっている」と発言しており、一段の失業率引き下げをターゲットに、追加緩和に乗り出すシナリオは考えにくい。次に異次元緩和を拡大する際には、デフレ脱却への経路が鮮明に示せない中で、円安への誘導に期待感をつなげながら、さらにアクセルを踏み込むことになりそうだ。

マイナス金利拡大に賭ける?

一方で、マイナス金利の拡大はどうか。

マイナス金利は、さまざまな金利の引き下げ効果を生み、企業の設備投資や住宅投資の動きを刺激しつつある。ただ、企業には一段の金利低下を見込む思惑もあり、設備投資意欲が本格的に高まっているとは言い難い。さらに個人消費の改善の動きは相変わらず、鈍いままだ。

マイナス金利は金融融機関の収益圧迫要因になるため、金融機関の反発は強い。三菱東京UFJ銀行による国債入札の特別資格(プライマリー・リーダー)返上の動きもあり、マイナス金利拡大に批判的な声が一段と広がっている。

ただ、黒田は周辺に「金融機関の収益のために金融政策をやっているわけではない」と強い口調で息巻いているという。

日銀は、金融機関の収益減少がバランスシートの悪化を招き、貸し渋りを引き起こす懸念があるかどうかについては、慎重に精査している。今のところ、そうした兆候はないという。

これらを考慮すれば、黒田は必要と判断すれば、金融機関の批判には耳を貸さず、思い切ったマイナス金利の拡大に踏み込むと考えるのが自然だろう。

マイナス金利は日米の金利差拡大につながるため、円安への誘導効果は大きい。ただ、金融機関、特にメガバンクの株価の低下要因になりかねない。メガバンクの株価は日経平均を算出する際のウエイトが大きいため、日経平均株価の下押し圧力になりかねないのは懸念材料だ。

では黒田は、どのタイミングで、どう動くのだろうか。