「超円高」「日経平均14000円」回避のために、黒田日銀が用意する「バズーカ」フルコース

発射のタイミングはいつ?
小野 展克 プロフィール

追加緩和は不可避

では、黒田は次の一手をどう打つのだろうか。

そもそも黒田日銀が掲げる2017年度中の2%の物価上昇の実現は、このままでは難しい。仮に英国のEUからの離脱がなかったとしても、近いうちに追加緩和に動かざるを得ないだろう。

その場合に検討しなければならない論点が2つある。一つは、失業率の低下が物価上昇と連動せず、異次元緩和がデフレ脱却を実現する経路が目詰まりしている点だ。失業率の低下と物価上昇の連動を示すフィリップス曲線が、なぜうまく作動しないのかという論点である。そして、もう一つは批判の強いマイナス金利を、これ以上、深堀できるのかという論点だ。

まずフィリップス曲線の問題だ。総務省が5月末に発表した4月の完全失業率(季節調整値)は、前月と同じ3.2%まで低下した。ほぼ失業率の下限に近い水準まで下がったとの見方も強い。

本来なら失業率が下がれば企業の人手不足感が強まり賃金が上昇、消費意欲が高まり物価が上昇するメカニズムが働くはずだ。しかし、日銀がターゲットとする全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比0.3%下落、さらにエネルギー価格を除外してもププラス0.9%にとどまり、上昇幅は9か月ぶりに1%を割り込んだ。

デフレ脱却への道のりは足踏み状態から、やや逆戻りの様相を示し始めている。その背景には何があるのか。

一つは経済のグローバル化の進展だ。安い製品が世界中から輸入されるため、国内の失業率が低下しても、なかなか物価が上昇しないという見方だ。当然、企業は賃上げに舵を切りにくくなる。

またIT系の企業では、供給量を拡大させても追加コストの発生が少なく、物価上昇につながるメカニズムが働き難いとの分析もある。