「炎上」の研究〜ネットが生み出した名もなき”風紀委員”たちの正体

世間は息苦しくなるばかり
週刊現代 プロフィール

この大和くん行方不明事件でも、彼らは大和くんが発見される前に、「実は両親は、行方不明の真相を知っているのではないか」と疑い、まるで貴之さんが「犯人」であるかのごとく決めつけ、情報収集を始めた。

そしてものの数日も経たないうちに、貴之さんの勤務先や田野岡家の家族構成、両親の来歴などを暴き出し、不特定多数の人の目に晒したのである。

こうした行為も、炎上の一種と言える。炎上事件に詳しい、ブロガーで投資家の山本一郎氏は、こう解説する。

「近年では、ネット上にある画像を自動で解析したり、一致する画像を探したりするツールが、一定の知識さえあれば誰でも簡単に使えるようになっています。住所や個人情報を調べるノウハウも蓄積されていますし、中には法曹関係者といった、職務上の権限を悪用して個人情報にアクセスできる人物も混じっていると思われます。戸籍を入手するなど、違法行為を犯す者も珍しくありません。

彼らは、ターゲットを貶めたいというよりも、単に他人の個人情報を暴くことを面白がっている『愉快犯』なのです。しかも、住所が分かるとすぐ現地に向かい、家の写真を撮ったりチャイムを鳴らしたりする者まで現れる」

彼らの不気味な情熱は、相手が強大であればあるほど激しく燃え上がる。炎上によって大企業が謝罪に追い込まれたり、方針を転換せざるをえなくなったりする事例も、枚挙にいとまがない。

今年4月には、日清食品の「カップヌードル」のテレビCMが放映中止となり、日清食品が謝罪する騒ぎが起きた。CMには、'13年に不倫・離婚騒動を起こした元モーニング娘。の矢口真里が出演していた。彼女が「二兎を追う者は一兎をも得ず!」と、自身の不倫を思い起こさせるようなギャグを口走る内容だったが、これに非難の電話やメールが殺到したのだ。

日清食品は「皆様に、ご不快な思いを感じさせる表現がありましたことを、深くお詫び申し上げます」と公式謝罪文を発表し、「不倫を擁護する表現があった」と総括した。