習近平が次に粛清する「超大物」の名前〜5年に1度の党大会に向けた権力闘争が始まった

ターゲットは中国最大の親日派!?
週刊現代, 近藤大介 プロフィール

中央紀律検査委員会のホームページを見ると、6月8日付で、「今週引っ捕らえた77人リスト」が載っている。

だが、トップに出てくる北京市司法局弁護士トレーニングセンターの陳光毅元副主任が着服したのは、たかだか7万3500元(約120万円)にすぎない。前述の郭伯雄上将が、邦貨で4兆1000億円も隠匿していたことを思えば、これでは「虎」ではなくて「蠅」である。

これまでの「老虎」捕獲のパターンを見ると、例外なく、まずはその側近を捕らえている。

最近失脚した注目すべき幹部と言えば、5月30日に中央紀律検査委員会が汚職調査を発表し、6月3日に職を解かれた李雲峰・江蘇省副省長である。李副省長は皮肉なことに、5月27日に開かれた習近平総書記の講話を学習する江蘇省の党常務委員会に出席した後、拘束されたのだ。

これで習近平時代に入ってから、共産党中央委員会で実に21人目の「落馬」となったが、この江蘇省に34年間勤務し続けた地方幹部が注目されたのにはワケがある。同じ江蘇省出身で、共産党序列12位の李源潮国家副主席の側近なのだ。

「太子党」と「団派」の闘い

'12年11月に、習近平が中国共産党トップの総書記に就任した時、共産党には「3つの派閥」が存在した。習仲勲元副首相の息子である習近平を代表とする「太子党」(革命元老の子弟)、「上海閥」と呼ばれた江沢民派、そして胡錦濤前主席や李克強首相率いる、共産党の青年団体である共産主義青年団出身の「団派」だ。

習近平主席と、やはり姚依林元副首相の娘婿で「太子党」の王岐山書記のコンビは、この3年余り、「腐敗撲滅」の御旗を掲げて、江沢民派の幹部を次々と失脚させてきた。これは、江派が国有企業を中心とする各種大型利権を握っていたことと、すでに80代後半の江沢民元主席を始め、衰えが顕著だったためだ。

いまや江沢民派は、相当なダメージを負った。そのため習近平・王岐山執行部は、来年の党大会に向けて、「団派」にも標的を広げた。「団派」の現役トップは、共産党序列2位の李克強首相、そして第2グループに12位の李源潮副主席がいる。

習近平主席が「団派」に対して「宣戦布告」したのは、春節(旧正月)明けの2月22日に開いた党中央政治局(トップ25)会議だった。中国経済が悪化の一途を辿っていることにかこつけて、「経済をうまくやらない幹部は、その地位にかかわらず責任を取ってもらう」と強弁したのだ。

これが、横に座った李克強首相に向けた発言であることは、一目瞭然だった。ここから、個人崇拝化を推進しようとする習近平執行部と、阻止しようとする「団派」との権力闘争が激化していった。