トイレで連れション中に人事発令!? ソニーのトップシークレットを知り尽くした新人時代の特異な体験談

島地勝彦×植山周一郎【第3回】
島地 勝彦 プロフィール

シマジ それで周ちゃんはスチュワーデスのタマゴを温めている場合じゃなくなったんだね。

植山 そう、もう冗談じゃないよね。ソニーでは、トップのお偉方にえらく可愛がってもらいました。まず入社してすぐ、専務のアシスタントをやれっていわれて、その専務というのが、次の社長になった岩間和夫さんだったんですよ。「植山君、常におれと一緒に行動するんだ」といわれました。

シマジ 周ちゃん、それは凄いね。新人で岩間専務のアシスタントをやっていたんだ。

植山 岩間専務は海外事業の担当もされていた。当時ソニーはフィリップスと提携してカセットテープを作ったり、デュポンから磁性粉を買ってビデオテープを作ったりしていて、岩間専務はそういう海外との提携事業の最高責任者だったわけ。「今夜はマキシムでフィリップスの副社長と会食だからお前もついてこい」なんて、どこへでもくっついていきました。

シマジ 新人のくせに?

植山 そう。だから新人のくせにソニーのトップシークレットを全部知っているわけ。面白かったですよ。そんな愉しい1年が過ぎたある日の午前中、トイレで連れションしていた海外事業部の次長が突然、「周ちゃん、今度、イギリスに行ってもらうことに決めたから」というんです。トイレで人事発令っていうのは、粋ですよね(笑)。

シマジ ソニーはそれくらい風通しがいい素敵な会社だったんだね。

植山 しばらくして部長から「周ちゃん、一緒にうどんを食いに行こう」と誘われまして、うどんをす啜りながら「イギリスでトリニトロンのカラーテレビを発売するから、その先兵になって行ってくれないか」といわれました。「わかりました」というしかないですよね。

すると今度は「ところで周ちゃん、結婚相手の方はどうなんだ?」と訊いてきた。「結婚を前提につきあっている女性はいません」というと、部長は「とにかくすぐ見合いしろ。仲人はおれがやってやる」というんですよ。

しかたないから家に帰って両親に相談したら、親父の会社の会長さんが渋谷の神山町に住んでいたのね。その奥さまとうちの母親が仲がよかった関係で、奥さまに相談すると「うちの近所にいいお嬢さまがいらっしゃるのでお会いになりませんか」ということになり、ダメ元で会ったのがいまの女房ですよ。

シマジ 周ちゃん、偉い! 結婚はやっぱり出会い頭のほうがいいんだよ。

植山 女房とはいまも凄く仲がいいんですよ。友好的独立を果たして、おれは恵比寿に、女房は久我山に住んでいます。彼女はいま、近所の奥さま方に英会話を教えたりしているの。でも、週に2回は恵比寿にくるかな。スポーツクラブも一緒だし。