ヘビー級で世界と戦った男が明かす、K-1の過酷さと「舞台裏」【最強さん、いらっしゃい!第二回】佐竹雅昭・後編

細田 マサシ

 「このままだと、30代でアルツハイマーになるよ」

──でも、佐竹さんは、どうしてそうならなかったんですか?
佐竹 そうなる暇がなかったというのが本当のところ。まず連載コラムだけで月に20本もあったから、いつも締め切りに追われていたし(笑)。それ以外にも本を読んだり、おもちゃの店を回ったり、テレビ番組に出て、ラジオで喋って……それで、次から次へと強い奴をバンバン当てられるから、練習もさぼるわけにはいかんしね。だから、ハイエナに狙われる隙がなかった。

──確かに多忙ですね。
佐竹 だって、僕はK-1の打ち上げパーティは、ほとんど出席してなかったしね。それも「佐竹はテレビであんなにおちゃらけてんのに、無愛想だ」って批判の対象になってた。そういうことを平気で言う関係者もいたしね。

でもね、世界レベルの強い選手とガツンガツンどつきあった後だから、まずホテルに戻って氷で体を冷やしたい。頭部だって打たれていたし、それくらいの試合しているわけでしょう。だって、脳外科医の先生に「このまま試合し続けると脳が委縮して30代でアルツハイマーになるよ」って言われて、それで1年半休んでるしね。

──現役っていうのは、本当に厳しいんですね。
佐竹 でも、格闘技の現役期間ってあっという間に終わるんです。選手の寿命って、人それぞれではありますけど、本当に短いんでね。

──確かにダメージもあるし。
佐竹 だから、現役時代って遊んでいられないですよ。試合と練習。それと自己プロデュース。それに引退後のことも現役のときに考えておかないといけない。皮肉じゃなくて、本当に浮かれている暇がなかったから。その休んでいる1年半も『元気が出るテレビ』のレギュラーがあったりして、ある意味広報活動をやっていたしね。

──なるほど。
佐竹 それで、今も若い格闘家に「将来どうしたらいいですか?」って相談されることが多いんだけど、「将来じゃなくて、少しでも名前のある今のうちにやれ」って言ってる。だって引退してからだと、相手にされなくなるから。名前のあるうちだから、応援してくれる人も現れるし、いいスタートが切れる。

──引退後になにか始めるのは遅いと。
佐竹 スターになったとかいっても、天をひっくりかえせるほどのものはないでしょう。一時的なものなんですよ。だから、彼らに言うのは「同じことをやってはいけないけど、全く違うことをやったら失敗するよ。だから、今やっていることと近いことをやりなさい」と。その上で、「自分の中でワクワクすることを見つけなさい」と。正直それしかないんでね。自分の食い扶持は自分で作れと。

──はああ。
佐竹 で、実は僕の考える「最強」っていうのも、これと関係するんですよ。それは格闘家だけじゃなくて、ビジネスマンも、すべての人に当てはまることなんです。

──え、どういうことですか?