被害総額2000億円!豊田商事「会長刺殺事件」の凄惨な結末

バブル前夜に起きた巨額詐欺事件
週刊現代 プロフィール
 

吉岡 中学卒業後は、愛知県の自動車部品メーカーに勤めている。当時の給料は1万円。今とは物価が違うといっても安すぎる。それで永野は、こんなところにいても意味がないと感じたんじゃないかな。しかも自分は中卒だから偉くもなれない。そこでの体験が、おカネに対する「執着心」を生んだのかもしれない。

西村 工場を辞めてからは、消火器の販売や不動産会社を転々とし、その後、先物取引の会社に就職します。

吉岡 そこで永野は、カネを儲けるには「右から左に動かすのが一番賢いやり方だ」と思い込んだわけです。物を作って売ってもいくらにもならないけど、相場なら莫大なカネが動くと。

冨村 実際、豊田商事の記録の中で永野は「事業はマネーゲームだ。その意味では相場が一番で、その次がマルチ、ペーパー商法だ。商売に道徳は必要ない」と語っていたようです。事業は博打だと考えていたんでしょう。

西村 '85年と言えば、時代的にもちょうど日本がバブルに向かう直前。株や不動産が急激に値上がりして、濡れ手で粟を掴んだ人も多かった。「ラクして稼いで何が悪い」、「多少の悪いことも許される」という雰囲気が、社会全体に蔓延していた。