【感動秘話】広島カープ、悲願の優勝へ〜知られざる黒田博樹と新井貴浩の「約束」

マエケンが抜けても、この二人がいる
週刊現代 プロフィール

黒田は大阪・上宮高では2番手投手で、進学した専修大は東都大学リーグ・2部に在籍。1部にあがったのは4年生の春からだった。速球は150kmを計測したが、配球が単調で、痛打された。プロ1年目の二軍戦では1イニングで10失点したことも。入団3年目までは勝ち数より負け数の方が多く、初の2ケタ勝利まで5年も費やした。

新井も駒大時代、スカウトの目には留まらなかった。大学の先輩、野村謙二郎氏(前広島監督)の自宅を自ら訪れ、スイングを見てもらって入団の推薦を得た「コネ入団」だった。

二人とも入団当時は、何年間プロでやれるかわからない雑草戦士だったが、広島伝統の厳しい「愛のムチ」でしごかれても食らいつき、一流選手にはいあがった。ともに「カープに育ててもらった」という恩義は深い。

広島は1975年の初優勝以来、'80年代にかけて黄金時代を作ったが、'90年代後半からは万年Bクラス。苦しい時代を支えた投打の柱は、'07年オフに新井が阪神へ、翌'08年に黒田がメジャーに挑戦。主砲とエースがFA権を行使して退団したことで、カープは大幅な戦力ダウンを余儀なくされた。

カープ復帰に導いた電話

しかし、その二人がまるで運命に導かれるように昨年、二人同時に復帰した。全国紙の広島担当記者が明かす。

「新井が広島に戻るとき、相当悩んだようです。阪神の金本(知憲)監督をはじめ、巨人に移籍した川口和久や江藤智もそうですが、広島からFA権を行使して国内の他球団に移籍した選手で、古巣に復帰した例はない。

新井は広島への愛着は十分残っていたけど、阪神と並ぶ熱狂さで知られるファンから裏切り者呼ばわりされ、『どの面さげて戻ってくるんだ』とキツいブーイングを浴びることを想定し、復帰を躊躇していた。

そこで当時、アメリカにいた黒田に相談したそうです。すると、『お前なら大丈夫』と言われ、背中を押された。苦しみながら決断した新井はその後、黒田にこう言ったんです。

『今度は、黒田さんの番ですよ』

その話を黒田に質問すると、こう明かしました。

『(新井が)戻るって聞いて、多少なりとも(広島復帰を決断する)影響は受けた』と。二人は、そんな熱い友情で結ばれているんです」

実績のありすぎるベテランの加入によって、若手選手が必要以上に緊張し、自分の力を発揮できない場合があるが、今の広島はむしろその逆だ。

「イジられキャラの新井は阪神移籍後、広島時代から慕う先輩・金本にイジってもらうことで自分の居場所を確保し、チームの雰囲気作りに一役買った。でも、金本の引退後は、新井は孤立してしまったんです。

黒田も新井をイジり、新井はかえって居心地のよさを覚える。そのことが、チームの空気を和ませているんです」(民放局スポーツディレクター)