日本の大企業に巣食う「根深い病魔」の正体〜唯一の処方箋は「組織の民主化」しかない!

東芝、シャープ、三菱自動車…
辻野 晃一郎 プロフィール

まずは組織を民主化せよ

私がグーグルの日本法人に在籍していたときに、ステルスマーケティングの形跡がある事例が発見されたことがある。

インターネットの健全で公正な発展を標榜するグーグルでは、ステマは禁止行為だ。この問題は現場の一般社員が発見し、その後、米国本社も巻き込んで徹底した真相究明が行われた。

一担当者の勇み足ではあったが、結果的には、google.co.jpのページランクを落とすという処罰を自らに下した。日本法人の立場では残念な事例ではあったが、このようなケースに自然と自浄作用が機能する健全性を密かに頼もしくも思ったものだ。

グーグルのような会社が、ネット時代以前のレガシーを一切引き摺っていないのに対し、高度成長期の経済発展を担ったような日本の成熟企業は、その時代に最適化された仕組みやワークスタイルをいまだに重く引き摺っている。

線型的な予測に基づいた中期計画や事業計画を立案し、失敗を許容しない。短期的な利益追求が圧力となり、自らの技術資産や組織のサイロに依存し続ける。その結果、自社内を繋ぐことも他社とのオープンなエコシステムを作ることも容易ではない、等々。

いつまでも古い体質を温存し、組織を民主化できずにいることこそが、技術が民主化された時代における成熟企業の不正や凋落を招く根本原因となっているのではないだろうか。

辻野晃一郎(つじの・こういちろう)
1957年福岡県生まれ。アレックス(株)代表取締役社長兼CEO、元グーグル日本法人代表取締役社長。慶應義塾大学大学院工学研究科修了、カリフォルニア工科大学大学院電気工学科修了。ソニーでVAIO、デジタルTV、ホームビデオ、パーソナルオーディオなどの事業責任者やカンパニープレジデントを歴任したのち、2006年3月に退社。翌年グーグルに入社し、その後、日本法人社長に就任。10年4月に退社後、アレックスを創業。