そもそもトランプはなぜ大統領を目指すのか? 背筋がゾッとする、著名な心理学者の分析結果

並外れた攻撃性を持つナルシスト
笠原 敏彦 プロフィール

トランプ氏のこの人生哲学と彼が施政方針として掲げる「アメリカ第一主義」は見事に共鳴する。もっと言うなら、彼の生き様を施政方針に昇華させたものが「我々はもう他国から巻き上げられることはしない」というアメリカ第一主義なのである。

そうであるなら、このスローガンは、アメリカの国益を最優先にするという生易しいものではなさそうだ。トランプ氏が理想とするのは、あらゆる取引(交渉)で、相手国を完膚なきまでに打ちのめし、完全勝利を目指すアメリカの姿ではないだろうか。

勝つことに徹底的にこだわるトランプ氏。その彼の敗れたときのモットーが「やられたらそれ以上にやり返せ」という人生訓であることも、超大国を率いる大統領の人格としては不気味なところである。

なぜ大統領を目指すのか〜ある心理学者の分析

しかし、問題はそれ以前の話である。トランプ氏に国家や世界の在り方について一貫した理念があるとは思えない。そのトランプ氏が、巨額の私財を投じてまでなぜ大統領を目指すのかということだ。

この点こそ今回大統領選の最大の謎であり、仮にトランプ大統領が実現した場合、彼がいかなる大統領になるのかを方向づける重要なポイントのように思える。

 

そんな疑問を覚える中で、米評論誌「アトランティック(The Atlantic)」6月号に非常に興味深い長文の論文が載った。その表題は、「ドナルド・トランプの精神――ナルシズム、非同調性、仰々しさ トランプ氏の並外れた個性はいかなる大統領を形作るか、ある心理学者による考察」。

著者は、ジョージW・ブッシュ(息子)大統領の政策を彼の性格から分析した実績のあるダン・マクアダムズ(Dan P. McAdams)という心理学者である。

この論文によると、アメリカでは心理学者と歴史家との協同プロジェクトにより、初代ワシントンから現職のオバマ氏まで全ての大統領の個性を分析した研究成果があるそうだ。

その評価基準に照らし合わせると、トランプ氏は「並外れた外向性(攻撃性)と類を見ないほど低い同調性」が特徴であり、過去にはいない大統領のタイプという。そして、トランプ氏の個性の根底にあるのは「怒り」だと指摘している。

その個性はいかに形成されたのか。論文は、子どもの頃のあるエピソードに注目している。

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