人間にとって「宗教」とは何か? 絶望からの救いを求め続けたある偉大な哲学者の思索と苦闘

キェルケゴールはこう考えた
鈴木 祐丞 プロフィール

キェルケゴールは、1855年、42歳でその短い生涯を終えた。冒頭で触れたように、彼の死後耳目を集めてきたのは、もっぱら彼の著作の方であり、著作家キェルケゴールの思想――彼の意を汲めば、仮名の著者たちの著作であり思想――の方だった。

でも、キェルケゴールは、絶望からの救い(信仰)を求めての自分自身の生のドラマ、自伝的な信仰日記の方も、著作と併せて、死後に読まれることを期待していたわけである。

キェルケゴールの意図に即して彼の全体像を理解すべきであるならば、われわれはこれから、彼の著作だけでなく彼の日記も、ていねいに読み解いてゆかなくてはならないだろう。

鈴木祐丞(すずき・ゆうすけ)
1978年生まれ。2009年から2011年まで、コペンハーゲン大学セーレン・キェルケゴール研究センター研究員。2013年、筑波大学大学院人文社会科学研究科哲学・思想専攻修了(博士(文学))。専攻は、宗教哲学、キェルケゴール研究。現在、秋田県立大学助教。