ダルビッシュ圧巻の復活劇に思う、プロフェッショナルのあるべき「態度」

コリジョン・ルールの本当の論点は何か
スポーツコミュニケーションズ, 上田哲之

日本球界のホームベース上のコリジョン・ルールに関しては、5月12日の巨人―阪神戦が有名だ。阪神・大和がすばらしいバックホームをしたが、捕手・原口文仁がホームベースをまたいで走者の走路をふさいだとして判定がくつがえり、明らかなアウトのタイミングがセーフとされた。

これについて、さまざまな意見があるのは承知している。そこに、さらに言説を加えようとは思わない。

ただね。アメリカも、日本も、こう、いちいちプレーを中断して、ビデオを確認されてもなあ。最近は、審判のほうから積極的にビデオを確認しようとしているようにさえ見える。

以前、どこのテレビ局だったか、野球中継の番組宣伝として、「野球は格闘技だ」というコピーを流していたことがありましたね。「格闘技」の象徴として、ホームベース上での走者と捕手の衝突がイメージされていた。

実際にメジャーリーグでは、屈強なキャッチャーが完全にベースを塞いでしゃがみこみ、それを走者がショルダータックルしてふっ飛ばすようなシーンが、しばしばあった。たしかに格闘技かもしれないが、ベースボールではない。それは、いつしか、日本野球にも伝播していたように思う。

いつごろから、と時期は定かに言えないのだが、問題の本質は、このようなイメージを、野球の魅力として語り始めたことにあるのではないか。

技術を競うスポーツ

思い出すのは、かつてのドジャースの名捕手、マイク・ソーシアである(今は、エンゼルスの監督として、さかんにサインを出す姿が印象的だ)。

どの試合かは覚えていないが、テレビカメラがホームベースの真上にも設置されていたことがあった。走者のホーム突入のシーンを真上からのカメラで再生して見せてくれるのである。

ソーシアは、もちろん走路にしゃがみこんでホームベースをべったり隠したりはしない。ベースよりも前に立っていて、返球を捕球する動きに合わせて、両足を上手に使い、走者からベースをふさぎながら、でも、ベースの一角はあけておくような、たくみなブロックを見せていた。

この両足の使い方、ベースのあけ方、ふさぎ方、ランナーのスライディングとの関係が、真上のカメラからだと、鮮やかに見えた。たしかにブロックしているのだが、べったりベースをふさいでいるのではない。流れるような一連の動きなのだ。

そう。野球は格闘技ではない。球技である。技術を競うスポーツである。それは、ホームベース上のプレーでも、変わりはない。