なぜいま「酒の安売り」を規制するのか!?
与野党談合、財務省もグル。国の“庶民いじめ”に終わりはない

古賀 茂明 プロフィール

有権者は絶望するしかないのか

与党の暴挙に対して、野党はどういう態度をとるのかと疑問が湧く。しかし、驚くことなかれ。全野党がこの法案に賛成しているのだ。

選挙前に町の酒屋を敵に回したくないのは、民進党も共産党も同じ。節操なく、自民党の提案に乗ってしまった。「野党共闘で自公と対決」などと威勢はいいが、しょせんは、党利党略が優先。庶民のことなどまるで考えてはいない。

一方、財務官僚、特に実際の規制を担当する国税庁の官僚はウハウハだ。町の酒屋から「あそこの量販店の販売価格が安すぎる」と苦情がきたら、彼らの味方につくフリをして、実際には規制の発動などせず、量販店側にやんわりと釘をさす。

こうして、そこそこのところで手を打ち、双方に恩を売る。その対価は、形を変えた賄賂、すなわち「天下り」だ。全国各地の「税務署ごとに」作られる酒販組合は、実は「税務署職員天下りのための組織」でもあるのだ。

ちなみに、この法案は密室の中で与野党が談合して作られたが、その過程の議事録は開示されていない。衆議院の委員会審査は何と「省略」。憲法違反という声さえ上がりそうだ。

「こんな議員たちはいらない!」。こう叫んでみても、選挙ではまた同じ顔ぶれの中で「選択」を迫られる。有権者は、絶望するしかないのだろうか。

『週刊現代』2016年6月11日号より