世界的にもこんなの異常だ! 在日米軍だけがもつ「特権」の真実

沖縄女性遺体遺棄事件から考える
伊勢崎 賢治 プロフィール

際立つ日米地位協定の特異性

世界各地に基地を持つアメリカの地位協定は数多あれど、その中には外交特権と同じように互恵的なものがある。それが1951年調印のNATO地位協定、つまりアメリカを含む欧米軍事同盟のそれだ。

お互いに軍事基地を置き合う前提で、同じ地位協定特権を認め合う。協定文面の主語は、あくまで「派遣国」と「受け入れ国」だ。締結した国家間の関係は対等で、不平等さはない。その中に、敗戦国のドイツとイタリアもある。

NATO地位協定における裁判権に関しては、日米地位協定と基本的に同じである。だからといって、同じ敗戦国のドイツとイタリアと比べて日本は特段不利な立場にない、と結論するのは間違いである。日本との決定的な違いは「互恵性」なのだ。

さらに、ドイツとイタリア両国は、特に冷戦後だが、補足地位協定として、第二次大戦後の占領時代からある米軍基地の管理権と制空権を全面的に回復している。訓練を含む米軍の全ての行動は、ドイツとイタリア政府の主権下に統制される「許可制」である。

加えて、それらの基地を抱え色々な損害を被るのは地方政府であるから、補足地位協定では、米軍に、そういう地方政府との公的な協議の外交チャネルをつくることを義務付けている。同じ敗戦国の中で、占領時代から脱していないのは、日本だけである。

発効以来、こんなに長期間一字一句も変わらないのは、日米地位協定しかない。

お隣の韓国もすでに二度改定している。1966年調印の韓米地位協定において、韓国は、日米地位協定の日本より裁判権において不利だったが、日本でと同じような様々な事件を経て、地位協定の改定を二回にわたって達成。アメリカの譲歩の理由は、「日本並みに」という韓国側の激しい国民運動の隆盛である。

日本において地位協定の問題への対処が、「運用」ではなく改定を求める国民運動にならないのは、ひとえにそれが「沖縄の問題」になっているからである。地位協定の問題を「不可視化」させるという政治意志が存在するならば、沖縄への米軍基地集中は、見事に功を奏していると言える。