日本人を苦しめる「一億総ランキング社会」という病

下り坂のこの国で大らかに生きるには?
週刊現代 プロフィール

平田 私は大学の教え子や、演劇をやっている若者と話す機会も多いのですが、彼らはすっかり絶望しています。「東京五輪が終わったら、日本はどうなるんですか」と真顔で聞かれるんです。

その東京五輪にしたって、エンブレムや新国立競技場で、大人たちがあんな茶番を繰り広げている。

今の若者はバブルを知りませんし、アベノミクスに期待してもいませんが、「そうは言っても、日本はちゃんとした国だ」と思っていたわけです。約束を守り、計画を実行できる国だと。

でも、そうではないということが明らかになってしまった。「自分たちの国はこんなにひどかったのか」と、自信を失っています。

戦争を期待する財界人

内田 安倍総理は「これからも右肩上がりの成長が続く」と口では言うけれど、本人も、もう自分の言葉を信じていない。

若者が失望しているのは、日本がどんな難局に直面しているかについて、指導者たちがウソをついているからです。安倍総理や日銀の黒田総裁の様子を見たら、「こんな白々しいウソをついて隠し通さなければならないほど、日本は危機的なのか」と普通なら思うでしょう。

平田 正直に言ったら、選挙で負けますから。実際、ある政治家に「もう経済成長はムリですよね。何でそう言っちゃだめなんですか」と聞いたら、「それで選挙に勝てますか」と言われました。

本の中でも触れましたが、かつて日本人は、「日本は小国である」と、ちゃんと身の丈を知っていた。

私は'62年生まれですが、親や先生から「日本は小さくて弱い国だ」と教わって育ちました。「たとえGDPが世界2位になっても、日本には資源がないんだから、教育をしっかりやって、貿易で頑張っていくしか生きる道はないんだよ」と。

内田 私が子供の頃は、親に「何か買ってくれ」とねだっても「ダメ」と言われる。「どうして」と食い下がると、「貧乏だから」。さらに「なんで貧乏なの」と聞くと「戦争に負けたからよ!」と言われましたね。