伊勢志摩サミットに神経をとがらせる中国
〜怒り心頭で「報復」を準備中

近藤大介インサイドレポート
週刊現代, 近藤大介 プロフィール

英国と言えば、90歳を迎えたエリザベス女王が5月10日にバッキンガム宮殿で開いた園遊会で、昨年10月に訪英した習近平主席一行が「とても無礼だった」と発言したことが話題を呼んだ。だがこの発言をもって英国の反中感情の悪化と見るのは、早計だという。

「本質的に通商国家である英国のキャメロン政権は、習近平政権が進める人民元の国際化を、ロンドンが国際金融センターとして生き残る最大のチャンスと捉えています。

チャイナ・マネーや中国人留学生が流れ込むのは大歓迎で、あまりに無批判に中国を受け入れるキャメロン政権に釘を刺したのが、あの女王発言だったのです」(同・木村氏)

オバマ広島訪問の思惑

日本の同盟国であるアメリカでも、開催直前になっても伊勢志摩サミットの話題はほとんど出なかった。

アジア研究者の米ウエイクフォレスト大学のロバート・ヘリエ准教授が解説する。

「こちらはすでに大統領選モードなので、基本的にアジアの話題と言えば、トランプ候補が何か発言したりした時です。オバマ大統領に関しては、アメリカの現職大統領として、前世紀に戦争したベトナムと、同じく戦争をして原爆を投下した広島を訪問することが、セットで話題になっているくらいです」

オバマ大統領の広島訪問に関しては、日本側が再三呼びかけて、ようやく実現したものだ。米政府関係者が証言する。

「4月に広島を訪問したケリー国務長官が、夜ぶらりと市井の食堂に入ったところ、熱烈歓迎を受けた。その話をホワイトハウスで報告したら、広島は恐いところだというオバマ大統領の先入観が解けて、訪問を決断したのだ。

だが日本政府に、『日程の都合上、広島訪問はサミットの前にしてほしい』と要請したら、それでは広島訪問だけが話題になると思ったようで、『サミットの翌日が望ましい』という。結局、サミット終了後、夕刻に短時間滞在し、そのまま帰国する日程に落ち着いた。

部外者である中国政府からは、『戦争加害者である日本が戦争被害者面するので、広島訪問をやめてくれ』と強いプレッシャーが来た。それでかなり事前に発表し、既成事実化させた」

前述の4月30日の日中外相会談で、王毅外相が執拗に、歴史問題に言及した背景には、オバマ大統領の広島訪問を牽制する狙いがあったものと思われる。