「英語格差」を乗り越えるための新常識〜植えつけられた苦手意識はこう取り除け!

ベストセラー『本物の英語力』誕生裏話
鳥飼 玖美子

解決への糸口

これをどうにかしないと教育が歪む、ひいては日本社会の未来が危うい、と案じてはいたが、その解決については、英語一辺倒の国家政策を批判することに終始しがちで、確固たる具体案は摸索中であった。

ところが、編集者から「英語格差」という一言が出てきた途端、なぜか「そうだ、みんなが英語をできるようになれば格差はなくなるじゃないか」という内なる声が聞こえてきた。

「それは、確かにいえる。でも、どうしたら、みんなができるようになる?」という自問自答の中で生まれたのが、「英語の学び方を語ったらどうだろう」である。

それまでも編集者は何度も、「自分自身も一英語学習者なので具体的な学習法が知りたい」と提案していたのだが、私は「ハウツー本なら他にいくらでもあるから、私が書く必要はない」と考えていた。

それなのに「英語格差」という一言で、英語が苦手な人、英語が必要なのにできない人、英語嫌いの人たちに、英語学習法をアドバイスすることで「英語格差を飛び越えてもらいたい」という思いがふつふつと涌いてきた。

英語嫌いの実態

これには、英語嫌いの生徒たちや学生たちの実態を目の当たりにした経験が根底にある。

東北大震災復興支援の一環として福島県や岩手県を訪れて講演した際、質問を受け付けたところ、驚くほど多くの中学生が、「英語は嫌い。どうやったら好きになれますか?」と聞いてきた。

「どうやったら好きになれますか?」と真剣に聞いてくる中学生の質問には、嫌いだけど、勉強しなければならないのは分かっている、でもどうしていいか分からないという、切ない気持ちがこもっていた。この問いに答えなければいけない、と思い続けてきた。

さらに、ある私立大学の国際教養学部での経験がある。設置準備段階から構想を練り開設に関与した新設学部に、英語が苦手な学生が予想外に多く入学してきたのである。国際教養学部なのだから英語が得意な学生が入学してくると思い込んでいたので、英語好きばかりでない実態に少なからず驚いた。

その大学は1年で辞めたが、「英語をやりたい」「英語を上手に話せるようになりたい」と思いながら、苦手意識に苛まれていたり、自信を失っていたりする学生のことが忘れられなかった。