135万部のベストセラー『嫌われる勇気』はこうして生まれた~構想16年、初版8000部からの挑戦

古賀史健, 上阪徹, 村上智子

海外翻訳は狙っていた

上阪 そういうことでしたか。たしかに「青年」のツッコミのおかげで、哲学的な難しい話も、面白く、分かりやすく伝わってきます。もう一つ伺いたいのが、登場する「青年」の独特な口調についてです。例えば、「ご冗談を! 不安や恐怖をこしらえた、ですって?」(p.27)のように、やや芝居がかっている。これも何か意図がありますか?

古賀 はい、はっきりとあります。これは、「長く残る本にしたい」と思っていたのと、いずれ海外で翻訳されることも考えてのことです。僕は、ドストエフスキーやトルストイなど19世紀のロシア文学が好きで、現代の日本人が読んでも十分に面白い。そんな普遍性のある文体を目指しました。だから、日本人にしか分からない表現も、一切書いていません。

上阪 そこまで見越して、書かれていたのですか。その目論見どおり、実際に今すでに、韓国や台湾ではベストセラーになっているそうですね。

古賀 そうなんです。さらに今、ギリシャとブラジルからも翻訳出版のオファーをいただいています。

上阪 今後きっと、国境だけでなく、時代をも超えて長く読み継がれる本になるのではないかと思います。

古賀 そうなってくれれば本望ですね。

(文/村上智子)


【「上阪徹のブックライター塾」とは】

「本を書けるライターになりたい」「ライティングの腕を上げたい」「書く仕事でもっと稼ぐにはどうしたらいいのか?」という思いを持つ人々を対象とした塾。著者に代わって書籍のライティングをおこなう「ブックライター」になるためのスキルを伝授している。

2014年4月、作家・ブックライターとして数多くの本を世に送り出してきた上阪徹氏によって開講され、本年4月~5月に第3期が行われた。上阪氏本人による講義・課題添削、出版界の第一線で本づくりを手がける編集者を招いた演習など、実践的な内容が特徴。詳細はフェイスブックページ(こちらをクリック)を参照。

古賀史健(こが・ふみたけ)
株式会社バトンズ代表。ライター。1973年福岡県生まれ。書籍のライティング(聞き書きスタイルの執筆)を専門とし、ビジネス書やノンフィクションで数多くのベストセラーを手がける。インタビュー集『16歳の教科書』シリーズは累計75万部を突破。2016年2月に『嫌われる勇気』の続編となる『幸せになる勇気』を刊行。単著に『20歳の自分に受けさせたい文章講義』(星海社新書)。
上阪徹(うえさか・とおる)
1966年、兵庫県生まれ。89年、早稲田大学商学部卒。リクルート・グループなどを経て、95年からフリーランスのライターとして独立。トップランナーたちの仕事論をわかりやすく伝えるインタビュー、執筆を得意とし、取材相手は3000人を超える。インタビュー集にベストセラーとなった『プロ論』(徳間書店)、『外資系トップの思考力』(ダイヤモンド社)ほか。自著に『職業、ブックライター。』(講談社)、『書いて生きていく プロ文章論』(ミシマ社)などがある。