作家・ねじめ正一さんの「人生最高の10冊」~尾辻克彦さんのような小説を書きたくて

ねじめ正一さんのベスト10冊

第1位『国旗が垂れる
尾辻克彦著 中央公論社 入手は古書のみ
団地から戸建てに転居した男が大晦日に玄関に掲げる国旗を買いにまわる表題短編ほか。「貧しき時代のよき小説です」

第2位『沈黙のまわり 谷川俊太郎エッセイ選
講談社文芸文庫 1000円
著者の考え方の基礎を示す21篇のエッセイを収録。「言葉とは、日常とは何かということがわかっている人ですね」

第3位『弱い神
小川国夫著
講談社 入手は古書のみ
作者の故郷・静岡を舞台にした、四十余人の人物による会話小説。20年間、個々の短編として各誌に発表された遺作

第4位『吉田知子選集I 脳天壊了
吉田知子著 景文館書店 1500円
あれこれとものをくれるものの、借金を返そうとしない男との関係を描いた表題作ほか

第5位『山椒魚
井伏鱒二著 新潮文庫 490円
「廃船に住む3人の男女の短編『シグレ島叙景』は、ずっとひっかかっている異色作」

第6位『桃仙人 小説深沢七郎
嵐山光三郎著 中公文庫 571円
「深沢さんを慕い、ここまで懸命に付き合ったのかと驚かされる。身体をはって書いた本」

第7位『ゴムあたまポンたろう
長新太作 童心社 1300円
「絵描きさんの書く絵本は理詰めじゃない。頭がゴムだなんて無意味の面白さの究極だね」

第8位『甲本ヒロト全詞集 日曜日よりの使者の詩
G.B. 1200円
「なかでも『ミサイルマン』は最高傑作。言葉の単調な繰り返しのようだけど、違う」

第9位『最後に誉めるもの
川崎徹著 講談社 入手は古書のみ
嘘か本当かわからない。死んだ母との記憶、時間が展開していく表題作のほか一篇

第10位『認知症になった私が伝えたいこと
佐藤雅彦著 大月書店 1600円
「認知症の人が抱く不安感。あのときこうだったのか、とお袋の気持ちがわかった」

『週刊現代』2016年6月4日号より