どういう成算があるのだろうか――。
先週木曜日(5月12日)、燃費偽装で経営破たんが取り沙汰される三菱自動車に対して、「コストキラー」カルロス・ゴーン氏の率いる日産自動車が救いの手を差し伸べて世間をアッと言わせた。
救済策の柱は、日産が2370億円を投じて三菱自の新株を取得し、資本提携に踏み切ることである。
資本提携によって、世界第4位とはいえ上位3社に大きく水をあけられていたルノー・日産グループが一気に上位との差を縮める道を開いたと、新聞やテレビはやや興奮気味に報じている。確かに、同グループの最大の弱点だったアジア市場での販売力を強化できる面はありそうだ。
だが、ゴーン日産は、もっと別の算盤を弾いているとみるべきだろう。その鍵を握るのが、日欧で最も売れているプラグインハイブリッド車「アウトランダーPHEV」の存在だ。
2018年以降、米国カリフォルニア州などで始まる新たな排ガス規制を視野に入れると、三菱自が誇るアウトランダーPHEVのパワーユニットは、決め手を欠いていたルノー・日産グループの救世主になるポテンシャルを秘めているのだ。