佐藤優が斬る「右肩下がりの時代」の病理〜三菱自動車はなぜあんな「不正」に走ったか?

佐藤 優 プロフィール

佐藤: 経営陣は「いかにして事件化を避けるか」ということを考えているんです。だから、違法性の認識もないし、組織ぐるみでもないということを印象付ける会見をするんですが、三菱自動車の会見を見ている限り、「捕まえてください」という話でした。

となると、組織防衛の危機管理能力はどれぐらいあるのか、ということに関してちょっと心配になってくるんですよ。

邦丸: 会見に出る場合は必ず、顧問弁護士や法務関係者と相談して、あらゆることを360度検討してから出るのが一般的だと思っていました。

佐藤: はい。ですが、顧問弁護士というのは税金や著作権などの民事の専門家です。私の顧問弁護士は刑事事件の専門家なんです。刑事の顧問弁護士をつけているのは、普通は過激派か広域団体ですけどね。

邦丸: ふふふ。

佐藤: 私は刑事事件の経験があるので、こういったことで名誉棄損などの訴えを起こされたらまずいとか、あるいは取材で検察がらみの事件を見た時に、これはどの程度法に引っかかるかということで、刑事のプロが必要なんです。

三菱自動車は、恐らく刑事の弁護士に相談していない。あくまでもコンプライアンスなどの民事の範囲でのみ考えていて、事件化され自分たちが捕まるということは想定外でしょう。刑事弁護士に相談していたら、ああいう会見にはならないと思うんです。

先行きが見えない中での「無理」

邦丸: イメージからすると、三菱グループというのは、まあひとつの会社ではありますが、能力が高いですよね。

佐藤: 能力は高いですよ。三菱商事にしても、三菱重工にしても、三菱電機にしても、個人的にいろいろな人を知っていますが、ものすごく能力も高いし、士気も高い。そのグループ内で、なんでこんなことが起きてしまうのか。これはけっこう深刻な話だと思うんです。

というのも、三菱だけではないと思うから。日本の巨大企業のあっちこっちに今、軋みや緩みが来ているということだと思うんですよね。だから、揺さぶれば、あっちこっちの企業からこのような問題が出てくると思います。