丸山ゴンザレス、メキシコ麻薬地帯に突撃! 激変するドラッグビジネスの最前線でいま何が?

『クレイジージャーニー』裏日記⑥
丸山 ゴンザレス プロフィール

カルテルは弱体化しない?

自警団の取材の一環で、筆者もマシンガンを持ってみた

メキシコで取材中、長年このテーマを追いかけているという現地ジャーナリストと話す機会があった。現地の新聞に麻薬カルテルに対して批判的なコラムを掲載するなど精力的に活動してきた人である。

彼にアメリカのマリファナ合法化の動きは、麻薬カルテルに対して効果的な牽制になり得るのか聞いてみた。

「それは、ナンセンスな質問だと思うな」
「どういうことですか?」
「メキシコの麻薬カルテルは、これをチャンスと見ているよ」
「チャンスというのは? アメリカでおおっぴらに大麻が生産され販売されるのは麻薬カルテルにとってリスクでしかないと思うのですが」

私の質問に対して男性は「またナンセンスなことを」と言いたげな表情を浮かべた。私の意見が否定されているのはわかったのだが、肝心の回答を聞くまでは納得出来ない。というのも、マリファナ合法化によって麻薬カルテルが弱体化するという流れは明白に思え、私にとってもここまで追いかけていた麻薬問題の根幹を成すフレームのひとつと言えるものだから、簡単に否定されては困る。

もったいつけずにとっとと結論を言って欲しいと思っていた。甘い意見だったらこちらも否定する気満々だった。

「いまメキシコではマリファナは違法じゃないことを知っているか?」
「それは、限定的な認可ですよね」

メキシコでは、単純所持や個人使用のためのものであれば、実質的に罪に問われないことになっている(2015年11月、SMARTという団体がマリファナの合法化を求めて訴訟を起こした結果、「嗜好品として個人用に栽培し消費することを認める」という判決を最高裁が出した)。

メキシコの農園。この奥に、麻薬を製造する「キッチン」があるという

「いまアメリカに流通しているマリファナのかなりの割合をメキシコ産が占めている。ロスを経由して全米にいきわたる。全米総量の半分ぐらいとする説もあるぐらいだよ。密輸されていてこの現状だよ」

「国境で没収されることもあるわけですもんね」

「そうだよ。国境警備は常に目を光らせているから。でもブレインたちは次々に新たな密輸方法を考えていく。ドローンを使った密輸なんかもその一種だよ。そうやって行き渡ったマリファナがどこで生産されたかなんて考えられないだろうさ」