天才中学生を狙え!激化する甲子園常連校「スーパー青田買い」の実態

彼らの未来は14歳で決まる
週刊現代 プロフィール

中日で投手、コーチとして活躍、2年前まで長きにわたって中日でスカウトをつとめ、現在は中学生を中心に指導する水谷啓昭氏が明かす。

「最近は、プロ球団が主催する少年野球、中学の硬式大会に、高校の指導者が観にきている。そこで活躍した選手のその後を、きちんと追いかけています。だから、高校の指導者がいい選手を『見逃す』確率は少なくなっている。

シニアやボーイズ出身の選手で全国レベルにある選手の実力は、拮抗している。選抜の大会前、投手では大阪桐蔭の高山(優希)選手や東邦の藤嶋(健人)選手が注目されましたが、私は智弁学園のエース村上くんが初戦の福井工大福井戦で投げている姿を見たときから『いいなあ』と思っていた。そうしたら本当に勝ちました。彼は低めのボールに伸びがあり、最後までフォームにばらつきがなかったからです。大会前の前評判は高くないのに、優勝投手になるのは珍しい例です。

秀岳館のベスト4進出も、大会前から予想していました。大阪・枚方ボーイズ時代から、監督の鍛治舎巧さんに指導を受けた選手がレギュラーに6人もいた。主将の九鬼選手を筆頭に、各選手の下半身の太さ、打球の速さは、すごく鍛えこまれていると感じました」

 

大阪桐蔭・西谷監督の場合

優勝した智弁学園を昨年10月、近畿大会準々決勝で下した大阪桐蔭は、選抜の優勝候補だったが、2回戦で木更津総合(千葉)に1-4で敗れた。智弁学園が優勝した数日後、大阪桐蔭の西谷浩一監督は早くも北海道に向かっていた。その動きをキャッチした関西のシニア関係者が明かす。

「西谷さんは本当にマメです。シニアの優秀な選手は地元・大阪にもたくさんいます。でも、西谷さんは関係者を通じて、北海道にもいい選手がいる、という情報を得たようです。大阪桐蔭が選抜で敗れた直後、同時期に大阪で行われていたシニアの選抜大会の会場に姿を見せ、そこで北海道のチームもすでに視察していました。それに満足することなく、数日後に、北海道に向かったのです。

直接見にいけば、どんな選手がいるかの現状を把握ができるし、来年以降の人材発掘の材料になる。名前も顔も全国的に売れている監督みずからが選手を見に来た、となれば、選手の抱く感情はもちろん変わってきますから」

西谷監督は、そのマメな行動力で、この春、「スーパー中学生」と言われた逸材の入学も実現させた。飛騨高山ボーイズ出身で、今年高校1年生になったばかりの右腕・根尾昴投手は昨年、中学生にもかかわらず、MAX146キロを投げる剛腕として脚光を浴び、高校の進路も注目されていた。アマチュア野球担当記者が明かす。

「根尾投手は彼の父親がお医者さんなので、神奈川の名門・慶応高に進学する選択肢もあったようです。『医者になるなら慶応、プロを目指すなら大阪桐蔭』と周囲も注目していましたが、根尾君は結果的に大阪桐蔭を選択しました。

大阪から飛騨高山まで行くのは、神奈川から行くのと比べても大変です。それでも西谷さんは授業や練習の合間を縫って、何度も足を運んだそうです。その情熱が、根尾君本人に伝わったのです」