2020年を待たずに、大学入試問題がどんどん変わり始めた! 現役高校生にも影響大の新たな傾向と対策

石川 一郎 プロフィール

名古屋大学法学部の強烈な問題

今年の名古屋大学法学部前期試験の小論文は、圧巻でした。

まず10,000字以上もある、憲法学者の専門的な講演録「国家・主権・地域―あるいは言葉の信じられない軽さについて」(石川憲治著・法学教室361号から抜粋アレンジしたもの)を読破したうえで、2つの問いについて論述を求められる問題です。

新学習指導要領のコアでもある学力の3要素「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」をフル稼働しなければならないタイトな問題だと思います。

問1 筆者は、「主権国家・非主権国家・自治体」という三元的な国家把握が、どのようにして形成された考え方だと述べているか。400字以上600字以内で説明しなさい。

問2 筆者が、日本社会の構造変動と、それに応じた改革・改造を、「地域主権論」によって論じていくことに対し、どのような評価をしているかを踏まえて、あなたは、この問題を、どのように論じていくべきだと考えるか。600字以上800字以内で述べなさい。

従来からあるタイプの小論文問題との違いは何でしょう?

たしかに、問1はある意味、要約問題です。そして問2は、その要約を前提に、自分の考えを述べるというスタイル。今までと大きく変わりません。

しかし、求められる要約からして、大きく違うのです。

これは受験生に、自分が生きている時代が、もはや伝統的な三元的な国家把握ではとらえられない構造変動の時代に位置していることを振り返るところから始めているのであり、文章の要約と言うより歴史的パースペクティブの要約をしなければなりません。

そして、問題文は、構造変動の時代に、「地域主権論」のような新しい価値観が生まれてきたのだが、どうも信じられないほど軽い意味しかなく、まだ新しい国家把握の価値意識が生まれていない時代に、今を生きていることを再認識させます。

それではあなたはどう考えるのか、伝統的な考えでは実際問題役に立たなくなっているのではないかと突きつけ、さああなたはどうするのか、どう生きていくつもりなのかを問うているのです。

あなたの「自分軸」を示しなさいと肉薄してくる強烈な問題なのです。

従来の小論文の場合、すでに幾つかの選択肢があって、どちらを選ぶのか、理由も考えて解答する類のものが多く、そこには「自分軸」がなくてももっともらしいことが書けました。

しかし、今年の参院選から18歳以上に選挙権を行使するという現実的な構造変動の時代に直面している受験生にとって、自分たちの国のカタチをどうとらえるのか、どう創っていくのか思考し判断するための「自分軸」づくりは待ったなしの時代がやってきたのです。